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2018年12月5日

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ジェイムズ・ギャラガーBBC科学ヘルス担当編集委員

遺体から子宮の移植手術を受けた女性が昨年、元気な女の子の赤ちゃんを出産した。遺体からの移植子宮による出産成功は初めてという。主治医たちが4日付の英医学誌ランセットで発表した。

ブラジルのサンパウロで2016年、10時間に及ぶ移植手術の後、受精治療が行われた。母親(32)は、生まれつき子宮がなかった。

これまで、母親から娘へなど、生きている提供者からの子宮の移植手術は39例あり、11人の赤ちゃんが生まれている。

しかし、死亡した提供者からの子宮を移植した10例はすべて、失敗または流産に終わっていた。

免疫抑制剤を投与

今回の事例では、子宮の提供者は脳内出血で死亡した、3人の子を持つ40代半ばの母親だった。

移植を受けた人は、マイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群を患っていた。女性の約4500人に1人がかかる、膣と子宮がきちんと形成されない疾患だ。

しかしこの女性の場合、卵巣には問題がなかった。そのため医師団は卵子を取り出し、父親となる人の精子を使って受精させ、凍結することができた。

子宮の移植手術を受けた女性には、体が移植子宮を拒絶しないよう、免疫抑制剤が投与された。

遺体移植の意義

子宮移植から約6週間後、月経が始まった。さらに7カ月後、医師団は受精卵を子宮に着床させた。

その後は通常の妊娠を経て2017年12月15日、帝王切開で体重約2500グラムの赤ちゃんが生まれた。

サンパウロ大学付属病院のダニ・エイゼンベルグ医師は、「生きた臓器提供者からの初めての子宮移植は、医療の躍進にとって一里塚となる出来事だった。適合する臓器提供者や必要な医療設備などが整えば、多くの不妊女性が出産できるようになった。しかし、生きた臓器提供者は珍しい。普通は、進んで臓器提供をしてくれるのは近しい家族や友人に限られる。これが今まで大きなネックだった」と、遺体からの移植による出産成功の意義を説明した。

英インペリアル・コレッジ・ロンドンのスルジャン・サソ医師は、「非常にワクワクする」成果だと評価した。

「この方法なら、臓器提供者となれる人の枠が広がり、経費も下がり、生きている臓器提供者の手術リスクを回避できる」

(英語記事 First baby born after deceased womb transplant

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46450274

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