ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2019年3月8日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

約2年前に「野菜の食べ方」について取り上げた。野菜350g分の栄養素が体内に入りさえすれば健康になれるわけではないこと、野菜をたくさん摂取するには加熱野菜を食べる習慣を身につけることが重要であることなどを書いた。今回は、ビジネスパーソンの間でも話題になることが多いらしい「野菜を先に食べる食事法」について考えてみたい。

(metamorworks/iStock/Getty Images Plus)

入院治療では「野菜先食べ」はやせる

「健康長寿のためにはどういう食生活をすればいいのか」というようなテーマで講演をしたときに、最も多い質問が「野菜をたくさん食べるほうがいいことはわかっているけどなかなか食べられない。野菜ジュースを飲むことは野菜を食べたのと同じような効果があるのか」という質問だ(その答えは第9回のこのコラムで書いた)。最近多くなったのが「野菜を食事の最初に食べるといいと聞いたが、それは本当か」という質問。

食事の際に、野菜を最初に食べることの健康効果は2つ考えられる。体重コントロールと糖尿病の予防の2つだ。はじめに、体重コントロールができるかどうかについて見てみよう。

筆者の記憶では、「減量のために野菜を最初に食べる」食事法を実践したのは、京都にある大学病院での肥満治療だ。生活習慣病の予防ではなく(もちろん美容上のダイエットでもない)、体重を減らさなければ近い将来に(生命の危険をも含む)重篤な疾病を招く危険性のある肥満患者に、「治療」として食事制限を行なったケースである。

入院治療中の患者に「三度の食事」の最初にキャベツを大量に摂取させる。当然、胃の中はキャベツで満たされるので、その後の食事(もちろん低カロリー食)がたくさん入らなくても満腹感はある。これを続けると、総摂取カロリー量が激減するので体重が落ちる、という仕組み。

もちろんビジネスパーソンでも、同じことをすれば体重は減る。入院患者の場合は食事がコントロールされている(その上「命に別状あり」などと脅されている)ので、これ以外の食事をいっさい口にできない。ただし、食後しばらくするとものすごい空腹感に襲われるので、入院してない人はどうしても何か食べてしまう。

多くの場合、かなり高カロリーな物を摂取してしまうので、総摂取カロリー量が落ちない。そのため、ダイエットはできない。これを制御できる(空腹感を我慢できる)ような人であれば、そもそも肥満してはいない(はず)。

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