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2019年3月20日

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李 智雄 (り・ちうん)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト

1976 年韓国生まれ。東京大学経済学部卒業、ボストン大学大学院修士課程修了。経済学博士。韓国陸軍士官学校陸軍中尉・専任講師、東京大学客員准教授、国際大学講師、ゴールドマンサックス東京・ソウルを経て、2014年から現職。著書に『故事成語で読み解く中国経済』(日経BP 社)。

 米中の摩擦をさまざまな形で目にしない日はなくなってきた。米国という大国に対して、「開発途上国」といわれてきた中国が台頭してきたことで、多くの次元において対立が起こっている。重要なポイントは、米中の貿易摩擦という対立の構図が、単に一大統領や、一政党によるものではなく、「覇権争い」によって生じたものであることだ。その覇権とは、「経済、技術、軍事、通貨」という4つの分野にまたがるものである。どちらかがその覇権争いを放棄しない限り、両国の対立と、その表れとしての保護主義、貿易摩擦は続く可能性が高い。

(BLOOMBERG CREATIVE PHOTOS/GETTYIMAGES)

 米中貿易摩擦問題の発端は、中国の急速な経済発展にある。それが「経済」覇権争いである。米国経済の低成長と中国経済の高成長の結果、顕著となったのは米国の世界に占めるGDP(名目、ドル換算)シェアの低下である。IMF(国際通貨基金)によると、米国は2002年に31・5%とピークを迎えたが、18年には24・2%と低下しており、23年に22・7%まで低下すると予想されている。

 一方で中国のそれは00年に3・6%、18年に15・9%と上昇を続けており、23年には18・0%まで高まることが見込まれている。このままいくと30年頃までには米中のGDPシェアが逆転する可能性が高いとみられている。

 さらにいえば、長期的な二国間の為替レートの目安となる購買力平価をベースとした経済規模では、中国はすでに14年時点で米国を抜いているのだ。米国の中国に対する警戒感の発端は、このような経済の勢力図変化にある。

 「経済」覇権以外に重要な要素が、「技術」覇権の争いである。「中国は長らく続く知的財産の窃盗、強制的な技術移転や他の構造的な問題など米国経済のみならず世界の経済に与えてきた重荷に対して取り組む必要がある」というペンス米国副大統領の言葉を引用するまでもない。中国の技術力を直接測るのは困難であるが、中国のそれは米国が神経を尖(とが)らせるレベルまで高まっているということだ。

 例えば米国商務省産業安全保障局は、バイオテクノロジーやAI、ロボティクスなど14の先端技術を指定し、それらが中国などへ流出しないように米国企業のみならず、第三国企業に対しても輸出規制を課す準備を進めており、今年1月にパブリックコメントも終えている。

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