世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年3月21日

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 2月27~28日にハノイで開催された第2回の米朝首脳会談は、物別れに終わった。

 トランプ大統領による一貫して楽観的な発言等により、第2回米朝首脳会談に対して、世界の期待は高められていた。ハノイで米朝首脳会談が始まった時は、トランプ大統領も金正恩書記長もご機嫌だった。それが最終的に決裂したことは、世界を驚かせた。

(farosofa/Artystarty/iStock)

 第2回米朝首脳会談後の大方の反応は「失敗」論であった。準備不足や抑々会談はやるべきではなかったなどとの批判がなされた。それらは、正しい批判である。首脳の余りにも個人的な関係が、事務レベルの協議を阻むことになっていることも否定できない。ハノイ会談の問題は初めからわかっていた。

 しかし、第2回米朝首脳会談は、全面的な失敗とは言い切れない側面がある。次に示す通り、幾つか良い点も考えられる。

 第1点目は、トランプ大統領が良く踏みとどまったことである。そうでなければ、交渉は大失敗するところだった。トランプは初めて「まともな外交」をしたとの評価もある。記者会見でのトランプ発言は、今までの乱暴な発言と比較して、妙にニュアンスのある発言が多かったし、慎重に発言していた。

 第2の利点は、北朝鮮問題の対立の論点が、米朝間で極めて鮮明になったことである。少なくとも、金正恩は、直面する問題の解決策の選択の厳しさについて、認識を新たにしたのではないか。今までのような誤解、意図的曖昧さを残したままでは、きちんとした交渉は出来なかった。非核化の定義(会談に先立ち米国はペーパーを北朝鮮に渡したと言われる)や彼我の主張の相違点が明確になったことは、極めて重要である。北朝鮮は、寧辺の閉鎖と交換に国連制裁措置の解除を要求した。トランプ大統領は「北朝鮮は制裁の全部の解除を要求した」と説明したが、北朝鮮の李容浩外相は、2月28日深夜の記者会見で、トランプの説明を否定し、要求したのは国連制裁の一部である最新の5の制裁、「民需経済と人民生活に支障を与える制裁」だと主張した。しかし、最新の5の制裁は、石炭、鉱物資源等輸出全般に亘る規制や石油の北朝鮮への輸出規制であり、それらは対北朝鮮制裁の核心である。北朝鮮の要求は、実質的に全面制裁解除の要求に等しかった。そんなことをすれば、米国のレバレッジは全く失われていただろう。国連制裁は交渉の最重要な梃子であり、安易に解除してはならない。北朝鮮がかかる要求をしたこと自体、制裁が効いていることの証左でもある。

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