Wedge REPORT

2019年5月12日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 作り手の思いをはせて、世界一のクラフトマンシップの伝え手となるーーがコンセプトの洋服メーカー「Factelier(ファクトリエ)」を運営するライフスタイルアクセント(本社熊本市)が、自分が種まきして収穫した綿を使ってTシャツやタオルを作ろうという「コットンプロジェクト 2019~2020」をスタートさせた。

綿の種

「綿を育てる楽しさ」

 10日、東京・銀座で山田敏夫代表は「服を作る工程を知り、作る側になることで、愛着を持って服を着られるようになる。今回は綿作りを種まきからやってもらい、綿を育てる楽しさを味わってほしい」と述べた。

 洋服を販売するメーカーが、繊維の原料を栽培するところまで遡ってサポートするのは異例の取り組みで、繊維、紡績メーカー、遊休農地を活用する農業法人などの支援により、3年越しでやっと実現した。

 このプロジェクトは、山梨県南アルプス市にある遊休農地300坪を借り上げて、ここに綿の種をまいて収穫し、これを原料にしてTシャツやタオルを作ろうというもの。今回がその第一弾となる取り組みで、東京から20歳から40歳代までの男女26人が南アルプス市の農地を訪問して種まきに参加した。マルチと呼ばれる黒いビニールで覆った小さな穴に種を入れて、1時間半ほどで300坪すべてに種をまき終えた。8月には綿の花が咲き、10月から来年の1月にかけて収穫し、来年の5月から6月には収穫した綿を使ってTシャツやタオルなどの製品が出来上がる予定だ。

 

3種類の製品

 綿の畑が300坪あれば100キロの綿が収穫できるが、実際に糸になる綿は30キロ程度だそうで、これにほかの綿を混ぜて肌触りの良いオーガニックコットンを作る計画だ。この糸を使ってTシャツ(税込み価格6500円)、ミニタオル(同2000円)、キーホールダー(同1800円)の3種類の製品を作り販売する。

 このほか、綿の種を希望者に無料で配布する。収穫した綿でTシャツやタオルを作りたい人は、種と製品のセットで販売する。栽培して収穫した綿を送れば、有料でTシャツやミニタオルを製造して送ってもらえる。

 2年目からはアパレル業界も絡めてアパレル関連の学校の定例行事にもしたいとしており、プロジェクトが繊維業界だけでなく、各地域に広がることを期待をしている。また綿を栽培した地元の小学校の生徒には、収穫した綿を使った洋服を着てもらえば、子どもたちにも洋服がどのような原料から作られているかを学習できるのではないかとして、学校関係にもこのプロジェクトに参加してくれるように呼び掛るという。

 また山田代表は「鳥獣被害に悩む農地や果樹園畑にとって、綿を作る畑は鳥獣被害のバリケードになるかもしれないので、これから試してみる」と話す。中山間地ではどこの地域も鳥獣被害に遭ってきているが、鳥獣は綿を食べないそうで、綿を栽培することで鳥獣被害を防げる一石二鳥の可能性があるという。

関連記事

新着記事

»もっと見る