海野素央の Love Trumps Hate

2019年8月18日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「トランプ集会のリピーターたち」です。研究の一環として筆者が2008年及び12年の米大統領選挙でオバマ陣営に参加したとき、同陣営の幹部は支持者を集めた集会に関して「リピーターが多いと選挙は負ける」と語っていました。というのは、支持者が拡大しないからです。

 ところが再選を狙うドナルド・トランプ米大統領は、「リピーター作り」にエネルギーを注いで、オバマ陣営と真逆の選挙戦略をとっています。

 そこで本稿では、筆者がトランプ集会で直面したリピーターたちを紹介し、そのうえでなぜ同大統領は彼らを重視するのかについて述べます。

野党民主党批判を展開するトランプ米大統領(海野撮影@オハイオ州シンシナティ)

背番号「45」

集会場から抗議活動家が追い出され満足した表情を浮かべるトランプ米大統領と笑顔を浮かべる支持者たち(海野撮影@オハイオ州シンシナティ)

 周知の通り、トランプ大統領は第45代米大統領です。昨年の米中間選挙で北西部モンタナ州ビリングスで50代後半に見える白人男性と出会いました。彼は星条旗の柄が入った背番号「45」のユニフォームを着て、前日から徹夜で列に並んでいました。しかも、彼は種々のトランプ支持の看板や旗を所持している筋金入りのトランプ支持者です。

トランプ集会に現れるリピーターの白人男性(海野撮影@オハイオ州シンシナティ)

 ビリングスでの集会に加えて、今年3月の中西部ミシガン州グランドラビッツ、6月の南部フロリダ州オーランド、そして8月の中西部オハイオ州シンシナティにおけるトランプ集会でもこの男性を見かけました。彼は正真正銘のリピーターです。

 シンシナティでの集会では筆者の左斜め前に立って、トランプ大統領に熱狂的な声援を送り、その一方で集会場の後方にいる米メディアにブーイングを浴びせていました。

「国境の壁」を模したスーツ

フロリダ州での集会にも現れたメキシコとの「国境の壁」を模したスーツを着用したブレイク・マ―ネルさん(海野撮影@フロリダ州オーランド)

 トランプ集会がきっかけになって、時の人となった白人男性がいます。西部カリフォルニア州サンディエゴからメキシコとの「国境の壁」を模したスーツを着て、東部ペンシルべニア州モントゥアズビレでの集会に参加したブレイク・マーネルさんです。サンディエゴはメキシコと国境を接しています。

 筆者の斜め前でトランプ大統領の演説を聞いていたマーネルさんは、同大統領から促されて演台に上がりました。トランプ大統領がメキシコとの「国境の壁」建設を強く支持するマーネルさんに感謝の意を表している様子が、ネットを通じて拡散しました。彼はオーランドでの集会においても、「国境の壁」をデザインしたスーツを着用して、徹夜で列に並んでいました。

 女性のリピーターも紹介しましょう。グランドラピッズで遭遇したトランプ支持者の女性は、同大統領の様々な表情が印刷されたTシャツを着て、最前列で演説を聞いていました。筆者はオーランドでの集会においても同じTシャツを着用して、最前列でトランプ大統領の演説に耳を傾けているこの女性を目撃しました。

関連記事

新着記事

»もっと見る