世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月6日

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 WSJコラムニストのスターンバーグが、9月26日付同紙のオピニオン欄で、中国は経済力を戦略目的に使う傾向が強くなっており、現在は日本が標的になっているが、そのような圧力の行使は自らにも跳ね返ってくるので、未だ軍事的にも経済的にも真の大国とは言えない中国にそのような政策を続ける余裕は無いはずである、と論じています。

 すなわち、中国は戦略目的で経済力を振り回すことに意欲的になっており、現在日本が標的になっている。これは懸念すべき事態だが、経済界は若干の余裕を持っていてよい。

 RBSに拠れば、この10年間で日中経済関係は大きく変化している。かつては、日本企業が部品を日本から持ち込み、中国の安い労賃で加工して、国外に輸出するのが主体だったが、現在は、日本製造業の在中子会社は、資材の3分の2を中国内で調達しており、製品の4分の3を中国内で売っている。

 日本の製造業は中国のサプライ・チェーンに完全に組み込まれている。RBSに拠れば、日本の中国内での販売額の約3分の1が「卸売取引」であり、企業間の部品などの取引だ。他の4分の1は、化学品、電気機械、情報通信機器、鉄鋼その他の製造業関連だ。

 このような物資は、中国の発展に必要な資材や資本財であり、特に、中国では製造できないハイテク機器の部品についてそう言える。

 日本の中国ビジネスが継続的に減少すれば、日本にとって問題だが、中国にとっても問題だ。一部の中国人が考えている以上に、日本には、中国が正気に戻るまで待つゆとりがありそうである。

 中国は外国企業に戦略的不満をぶつけて他国の経済と自国の経済に大きな打撃を与えることは出来るが、それにはコストが掛かる。よほどのことが無い限り、成熟した大国がその様な戦略を取らないのはそのためである。ましてや、中国は、軍事的にも経済的にも大国ではなく、その様な癇癪を起す余裕は無いはずである。

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 これは、双方に利益があるから経済活動が成り立つという大原則に立脚し、中国の日本に対する経済圧力の行使が中国の利益にならないことを冷静に分析している良い論説です。中国の指導部がこのような議論に説得されて、直ちに経済面での圧力行使を差し控えるとの保証がないことは事実ですが、中国は早く目を覚ますべきです。

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