「応援」したくなる野菜作りを

ぼくたちは「有機野菜」じゃなくて「おもしろい野菜」を作りたい(5)


柳瀬 徹 (やなせ・とおる)  フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

有機農家対談 「ぼくたちの農業」

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若手農家二人による「ぼくたちの農業」対談の最終回。農業を「経営」していくために必要なこととはなにか。そして、生産者と消費者との新しい関係とは――。

*前回までの記事はこちらから

農場を経営するということ

久松:お客さん一人ひとりの顔が見えることが、クオリティを維持する。とくに雇用するようになってすごくそう思うようになりました。緊張感が質を担保する。ただし、人を探すのは大変です。

 出荷作業のパートさんをタウン誌などで募集すると、やっぱり仕事をナメてくる人ばっかりなんです。「野菜の箱詰めなんて誰でもできるだろう」と思ってくる70歳過ぎのおじいさんとか。やんわりとお断りしますけど(笑)。

小川:ぼくもそこが悩みどころで、いま中国人研修生に来てもらっているんですけど、来年には帰ります。今後どうやってスタッフさんを集めようかと悩んでいます。毎月一人くらいは「やってみたい」と来てくれる人がいるんですけど……

久松:本当に? すごいな。

小川:でも、久松さんのお言葉を借りると、やっぱりナメているんですよ(笑)。ひとつの野菜を作るためにどれだけ効率よく動かないといけないか、やってみないと理解できないですよね。家庭菜園ではなくて農業を「経営」してみないとわからない。この野菜を作るために一時間でどれだけの時間と資材を費やすか、理解できないと思うんですよ。

 でも普通のアルバイト感覚の人にも仕事を分担できるようにしていかないと、農業って発展していかないと思うんですよ。

久松:うん、そうだね。そこはジレンマですよね。とくに小川さんやウチみたいな多品目の農場は難しいんですよ。ずっとやってもらう単一の仕事がない。

 だから経営的に大きくしたいと思うんだったら、多品目はやらないですよね。人を雇いやすいものにオペレーションしていく。もともと矛盾したことをやろうとしているんだけど、でもこのやり方で経営が回せれば、働きたい人は絶対いると思うんですよ。

 経営面をしっかりすることがいまいちばんやりたいことなんです。雇用を入れて回して行きたい。ぼくは栽培技術も経営もたいしたことないですけど、ぼくの話を聞いて「農業って面白い」と思った人が参入してきたら、絶対に農業が良くなる、という確信はあります。だからほかの農家とは違う文脈で農業を語っているとは思います。

左・久松達央さん 右・小川幸夫さん
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「有機農家対談 「ぼくたちの農業」」

著者

柳瀬 徹(やなせ・とおる)

フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

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