2024年5月20日(月)

World Energy Watch

2023年8月15日

 政府の設備の案件形成目標は、30年までに1000万kW、40年までに3000万から4500万kWだ。30年の導入目標は570万kWだ。

洋上風力落札制度の変更点

 導入のため政府は再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)に基づき促進海域を設け、入札により事業者を募集している。21年12月に発表された第1回入札の結果では、3海域とも三菱商事を中心とするグループが落札した。落札結果は表-2の通りだ。

 上限価格が1kWh当たり29円に設定されていた入札での、この落札価格と1グループの案件総取りは、多くの風力発電事業者を困惑させた。関係者からは次のような声が出た。「あまりに安い価格では収益はないはずで、事業が実現するか疑問だ」「1グループ総取りは事業者と技術の多様性を無視しリスクが高い」「この価格では風力発電事業を手掛ける事業者がいなくなる」。

 日本風力開発は表-2の事業者4とマスコミでは報道されており、その入札価格は評価点から試算すると1kWh当たり22.3円だ。落札価格とは9円以上の開きがある。

 昨年12月から今年6月まで行われた第2次の入札(表-3)では、評価制度の変更が行われた。価格と事業実現性が、それぞれ120点満点である点は第1次入札と同じだが、事業実現性評価の内容が見直され迅速性が新たに追加され、各項目の配点と採点方法も変更された。

 大きな変更は、1事業者が100万kW以上を落札できない上限が設定されたことだ。例えば、70万kWの海域を落札した事業者は、他の海域を落札できない。1事業者は最大でも2海域の落札になり、総取りはできなくなった。事業者には落札のチャンスが増える。

 第2次入札では、FITでの買取から、フィード・イン・プレミアム(FIP)と呼ばれる、市場などでの電気の販売価格に対しプレミアムが支払われる制度に変更になったが、安く入札すれば当然高評価になる。

 入札を検討していた事業者は4海域で環境影響調査を事前に実施している。日本風力開発も八峰町・能代市沖海域で実施済みだ。入札結果の発表は来年3月ごろとみられている。

 評価基準の変更により落札価格が上昇すれば、ただでさえ高いとされる日本の洋上風力発電の価格を引き上げる。


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