2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2009年4月22日

 国も支援を継続しました。93年にはニューサンシャイン計画を立ち上げ、94年には住宅用太陽光発電システムへの補助金制度を開始。日本は導入量、生産量ともに長らく世界第1位を維持しましたが、導入量では04年にドイツに抜かれ、冒頭のとおり、生産量についても07年にシャープが独・Qセルズに生産量で抜かれることとなります。

 その要因とされるのが、05年の補助金打ち切りでした。日本政府は太陽電池の普及に一定のめどが立ち、コストも下がってきたので補助金の使命は終わったと考えたわけですが、対照的に欧州では補助政策が広まりました。

欧州市場の急速な勃興

 欧州は、日本の助成制度を大いに参考にしながら、フィード・イン・タリフ(FIT)という、太陽光で発電された電気を固定的に買い取る制度を導入。先駆者のドイツなどでは市中電力の3倍の価格で20年間、電力会社が買い取ってくれます。最初の10年で投資を回収して残りの10年でリターンを得るという仕組みで、家庭用だけでなく投資対象としても人気を集めています。

 市場の大きさも欧州での導入量の増加に寄与しました。日本では用途の8割が家庭向けですが、欧州など海外ではソーラーパークと呼ばれる大規模発電所が多く存在します。砂漠や農場に何百枚とパネルを敷き詰める光景は日本では想像しにくいものです。

 08年の導入量で世界第6位まで落ち込んだ日本は、さすがに慌てたのか、政策転換を図ります。今年1月からは補助金が復活し、10年度からは余剰電力を市中価格の2倍で電力会社が買い取るFITの導入が予定されています。

 しかし日本が手をこまねいている間に、メーカーの顔ぶれも市場の状況も大きく変わってしまいました。日本が再び名実ともに世界をリードする立場に立てるかどうかについては、多くの悲観論が渦巻いています。


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