2024年5月9日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年3月22日

「円高メリット」を生かせ

 もしかしたら、米国の、そして世界の投資家の見方としては、日本経済のファンダメンタルズが相当に弱くなっており、円の実力を150円以下に置いているのかもしれない。仮にそうした悲観論が浸透するのであれば、世界から日本への投資はゆっくりと細っていくかもしれない。

 とはいえ、本番は、4月以降である。新年度入りして以降が、本当に今回の利上げへの世界の評価が見えてくることになるだろう。そこで円がある程度買われて、円高になっても、そこで日本株が持ちこたえれば、今度は「円高メリット」が出てくる。

 例えば、エネルギーや資材などの価格が落ち着くことで、日本国内の国民生活にも落ち着きが出てくるであろう。また、なかなか難しかった日本から世界への留学生も増えるのではないか。更に、日本でも国際労働市場で戦えるような給与を払うことができれば、優秀な人材を招聘して各産業を活性化することも可能になる。

 一部の外国人投資家は、この後にやってくるかもしれない一時的な円高のタイミングで、日本株を売り抜けるかもしれない。その弊害を限定的な範囲にとどめ、とにかく円高メリットを活かすことで、日本経済を再度活性化することにつなげてゆくべきだろう。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る