2024年4月26日(金)

ベテラン経済記者の眼

2013年12月3日

方針決定後、微妙に分かれた各紙のトーン

 だが農業は長年、政府によって保護されてきた業種であり、激変緩和など細かな目配りは必要だが、「農家=弱い者」という発想はそろそろ脱却した方が好いのではないかと筆者は個人的には思う。

 政府が最終的に減反などの方針を11月26日に決めたが、翌27日の朝刊各紙は、新聞ごとにトーンが微妙に分かれた。読売は「減反廃止、規制緩和、大規模化の3本柱で強化」、日経は「農業・企業競争へ動く」とおおむね中立的に論評。朝日新聞は「補助金頼みの政策は変わらず課題は山積」としながらも、農家の減収懸念や飼料米生産への過度な集中を懸念した。毎日もやや農家寄りの視点で「コメ強化 道険し 流通未整備戸惑う農家」と解説した。

 東京で霞が関や永田町の狭い範囲での議論を取材していると、どうしても都会の発想で記事を書いてしまいがちだ。その一方で農家保護の名の下で市場原理や競争力強化を無視した発想ばかりに立脚するのはバランスを欠くし、日本の将来のことを考えれば立ちゆかないことは明らかだ。今回打ち出した新たな補助金政策でも「結局、補助金の付けかえではないか」、「全国の8割以上の農地が対象になる」とばらまき批判があるのも事実だ。農家の経営努力を促し、日本の農業全体の国際競争力を強くするために、真の強い農業改革に何が必要なのか、これからも考え続ける必要がある。


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