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2014年9月18日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 尚、兵士のリクルート、入隊の時期はこれまで年間を通じて春と冬の2回に分けて行われてきたが、2013年から冬の募集をやめて夏から秋にかけて行うように改変されている。四半世紀近く行われてきた冬季募集が秋に繰り上げられていて正に現在この時期こうした問題が発覚し、緊急通達が出される事態になっているのだ。

トップから地方の末端まで蔓延する汚職

2013年の兵士入隊募集のサイト 勇ましい宣伝文句が並ぶ

 地方の軍機関(省の軍管区傘下の軍分区、人民武装部といった各自治体に置かれる軍関連機関で指揮命令系統は軍に属する)は軍事作戦の展開というよりも徴兵や退役軍人の福利厚生を主な任務としており、厳密に言えば軍事機構の主な目的である国防、軍事作戦実施を行うわけではなく、武器装備を扱う機会も多くなく、いわば軍事行政機関というべき機構である。そのため、80年代半ばに軍の機構改革に着手され、兵員削減が目指された際には、軍の財政負担軽減のため、こうした機関は軍から切り離して地方政府の管轄下に入れることが模索された。天安門事件前後でこの動きは挫折したもの、このような課題は現在でも変わっておらず、地方の軍事機構の軍からの切り離しは今後進められる軍の機構改革においても検討されるとみられる。

 こうしてみると中国軍における汚職の問題はそのトップから地方の末端まで深く蔓延し、また入隊から昇進、そして最後には退役という一連のプロセスにおいても贈収賄がはびこっている。習近平が「戦って勝てる軍になれ」とハッパをかけ、盛んに演習を行って戦力強化を図っているが、一番の問題は汚職蔓延による内部からの瓦解であることは、この記事からもよくわかるであろうし、それは自身が一番よく分かっているはずだ。

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