WEDGE REPORT

2009年7月16日

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 最新の2010年度進学(現2年生が3年生以降の専攻を決める進学振分け)では、6月下旬に第1回目の希望集計が行われたが、ここでも情報系コースは39枠に対して43人の応募しかなく、この段階での進学最低点は56.5点。全コースの中で下から数えて2番目と苦戦を強いられている(注)。

 この事態は東大に限らない。電気系はかつての材料・金属、原子力、船舶系と同じような道を辿っている。90年代に著しく人気が落ちたこれらの学科は、こぞって「システム」「マテリアル」「環境」といった名前にかえて存続を図った。電気系学科が「電気」の名前を放棄せざるを得ないとすれば、20世紀のエレクトロニクス全盛期を知る世代にとっては悲劇的だろう。

 実際、京都大学では「電理工学科」への名称変更が真剣に検討されたという。京大の佐藤亨教授は「昔は黙っていても優秀な学生が集まったが、高校生やそれ以下の世代へのイメージ戦略が不可欠」と語るが、その背景には「若者に“ものづくり”や“エレクトロニクス”が見えない時代になった」ことへの強い危機感がある。幼少期にラジオを手作りして感激したなどという逸話は皆無となり、昨年にはハンダゴテの熱い部分を握って火傷をする学生まで現れ、関係者を愕然とさせたという。

 「なぜ電気系学科に進学したのかと問われても、『自分の学力と偏差値を合わせた』としか答えられない学生が増え」(佐藤教授)、企業での採用面接でも「なぜ入社したいのか、どんな技術者になりたいのか言えず、核になる志がない学生が多くなっている」(業界関係者)という。

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