カリフォルニア有機米事情


田牧一郎 (たまき・いちろう)  田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

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全米あるいは世界的に拡大が続いている有機栽培(無農薬栽培)農産物販売店を訪問しました。ロサンゼルス郊外の大型店舗で、店の棚にはUSDA(アメリカ合衆国農務省)認証の有機農産物のマークがついた、野菜・果物、そしてコメをはじめとした穀物、その加工品であるスナック菓子、植物由来の布製品と多岐にわたる製品の数々が並んでいます。

 コメも白米・玄米そして加工品の味付きチップス、スナック菓子、シロップまで大きな棚面積を占めていて、「SUSHIRICE」と表示された有機米栽培の短粒種白米もありました。品種はカリフォルニアにある育種試験場が育種した大粒の短粒種です。寿司に向いているかは、その調理法にもよりますが、短粒種には違いありません。しかし乾燥した気候で稲の病気や害虫の発生が比較的少ないカリフォルニアでも、稲と競争してはびこる水田の雑草対策には常に悩まされています。

有機栽培の「SUSHIRICE」 (ICHIRO TAMAKI)

 雑草対策に気を遣って栽培を行っていても、栽培期間中一切の除草剤を使わず化学肥料も使わない、USDAの有機認証を得るための栽培条件で生産を行うと、その反収は半減します。

 カリフォルニアで開発された短粒種(コシヒカリなど日本由来の短粒種と区別するためにカリフォルニア短粒種と表現します)は、肥料・農薬を使った一般的な栽培を行うと、10アールあたり玄米600キロ以上の収量は確保できます。

 しかし、認証有機栽培で行うと300キロ前後まで減少します。化学肥料を使わないで鶏糞や海藻からとった有機肥料(何が使用可能かはUSDAの栽培基準に示されています)を使い、種子の殺菌剤や除草剤を使用しないため、病気・雑草との競合の中で稲が育ち、収穫できるコメは著しく減少します。

 これが販売単価を押し上げる大きな原因でもあります。もちろん、生産したモミは乾燥させて保管しますが、保管期間が長くなると当然「コクゾウムシ」の発生も始まるため、虫対策が必要になります。

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著者

田牧一郎(たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

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