世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月8日

 新アメリカ安全保障センター(CNAS)のフォンテイン会長が、3月3日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、南シナ海において中国が勝手気儘に推し進める埋め立てと諸施設の建設に対して、米国とアジアのパートナー諸国が協力して当たることの必要性を説いています。

 すなわち、南シナ海で中国が進める埋め立てと施設の建設の衛星写真が米国の懸念を高めている。中国の大胆な動きは、単に礁や島にとどまらず広範囲に及ぶ主権の主張、米国および近隣諸国との緊張を高めるリスクをとる用意があることの証明である。このことは米国とアジアのパートナーが安全保障上の関係を強化する必要性を示している。

 中国は、主張する領域を防衛するために軍事力を投射し易くすべく、南沙諸島において、ヒューズ礁では人工島とヘリポート、ジョンソン南礁では埋め立て、ガベン礁では航空妨害用の塔を建設し、フィアリー・クロス礁では滑走路を造るなど、地勢の変更を行っているようである。

 近隣諸国は警戒すべきである。これらの前線拠点は、いずれ、駆逐艦、空母、ミサイル部隊の基地になり得るし、防空識別圏を強行する拠点にもなり得る。

 中国は、ベトナムやマレーシアも地勢の変更を行っている、と反論するとともに、国際法違反との非難を無視して九点線の内側は全て中国領だと主張している。

 これら中国の活動は、より広範な自己主張の高まりの一部である。軍事力増強には接近阻止・領域拒否の能力に対する投資が含まれ、米国の軍事力投射の能力を粉砕することを狙っている。これに対して、地域の諸国は軍事関連投資を増加させ、近隣諸国と米国との安全保障上の関係の深化に動いている。米国の力に裏打ちされた開放的でルールに基づく国際秩序は、中国を含め多くの国にとって利益であった。力即ち権利なりというドクトリンが罷り通れば、著しく好ましくない未来となろう。

 米国と有志のアジア諸国は、中国封じ込めではなく、中国の自己主張に対するバランスを図る方法として、安全保障協力を本気で強化せねばならない。中国が台頭する地域で威圧と紛争を避ける最良の方策は、強力で他国と協調する米国のプレゼンスである。

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