2024年4月26日(金)

ペコペコ・サラリーマン哲学

2009年8月31日

 会社が社員一人ひとりとの間で結ぶ、もっとも重要な「約束」の一つに、「予算」と「計画」がありますが、「計画」は茫洋としています。先ほどの例で言えば、「計画」は「1億トンつくります」と言うだけです。「予算」(“予”め計“算”する)は「計画」とは違います。きっちり「金額」=「数量」×「単価」がついてくるからです。

 ビジネス社会においての「約束」は、取引にしても契約にしても、お金がつきまといます。ということは、「中身」「時間」「数量」「単価」という4つのファクターが揃って明確になっていないと、ビジネス社会での「約束」にはなっていないのです。

 ここで話を政党のマニフェストに戻したいと思います。あの「責任力」とか「国民の生活が第一」という「約束」は、果たして「約束」と言えるものでしょうか。抽象的なことを言葉だけ躍らせるのは、空に向かって叫んでいるだけで、とても「約束」とは言えません。

 「子ども手当」など、一見して具体的ですが、財源があるのかないのかわかりません。だから「○年度までにやる」といくら言われても、本当にできるのかどうかよくわかりません。結局、マニフェストと名前だけは格好よくなりましたが、昔の「公約」と一緒で、「中身」も「時間」も「数量」も「単価」も曖昧です。

自分一人で考える

 私は、さきほど、「約束」において最も大事なことは、相手のことは考えないで、自分の心に手をあてて、自分自身がすっきり納得できるレベルまでもっていけるかどうかだ、と書きました。「家族」という「約束」を自分自身に誓った長兄のように、他人のためではなく、自分のためという次元に昇華させることが大事です。

 政治家の方々には、自分たちがした「約束」を、将来、他人に言われてやっと対国民の目線で反省するのではなく、自分の胸に照らし合わせて、自分で自分自身に「実行」とその元にある「約束」を問いかけるようになってほしいと思います。そういうところまで行かないと、結局、何も変わらないと思います。

 大学受験で浪人2年目の1年間、私は四谷の国会図書館に通いました。そのとき、後に社会党の委員長となった浅沼稲次郎氏が週2回、午前中1人だけで勉強に来ていました。

 政治家(民主も自民もその他の政党も)は自分を鍛える勉強をしてほしい。自分を磨き、知力を身につけなければ、「官僚を抑える、抑える」と空に向かって言っても何の意味もありません。“「知力」の伴った実行”を国民に約束するためには、もっと徹底的に勉強する必要があります。国会議員も一人ひとり、それを国民にかたく「約束」してほしいと思います。

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