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2016年1月26日

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世界保健機関(WHO)は25日、ブラジルなど中南米で広がっているジカウイルスが、南米・北米一帯に広がる可能性があると警告した。ジカウイルスに感染すると、発熱や結膜炎、頭痛などの症状を引き起こす。これまでにカリブ海地域、北米、南米の21カ国で症例が発見されている。

小頭症の赤ちゃん数千人の誕生との関連が疑われており、一部の国では女性に妊娠しないよう注意を呼び掛けている。

治療法やワクチンは見つかっていない。

ジカウイルスは1947年、アフリカでサルの感染から発見された。人間の間ではこれまでにアフリカ、アジアの一部、太平洋諸島で小規模で一時的な集団感染の事例が記録されている。

しかし2015年5月にブラジルで感染例が発見されて以来、南米・北米両大陸では大規模な集団感染が発生している。

ウイルスを媒介する蚊が多いことや、ウイルスに対する自然の免疫がないことから、感染が素早く広がっているとみられている。

蚊が媒介

ジカウイルスを媒介するネッタイシマカ(熱帯縞蚊)に刺されると感染する。米州ではカナダとチリを除くすべての国に、ネッタイシマカは生息する。

WHOの米州支部「汎米保健機関」(PAHO)は文書で、「PAHOはジカウイルスが今後も拡散を続け、ネッタイシマカがいる地域のすべての国々・地域に到達すると予想している」と発表した。

ネッタイシマカはジカウイルスのほか、デング熱やチクングニア熱も媒介するため、刺されないよう予防策をとるようPAHOは呼びかけている。

PAHOはさらに、ジカウイルスが精液から検出されたことを確認し、「人から人への性的感染と考えられる事例が1件」あったと発表した。ただし確かに性的感染だったか確認するには、今以上に証拠が必要だとしている。

ジカウイルスは感染しても8割は発症しない。

しかし感染で最も懸念されるのは、母親の胎内にいる赤ちゃんへの影響だ。ブラジルでは昨年10月以降だけでも、小頭症の赤ちゃんが生まれたケースが約3900件報告されている。

PAHOは妊婦に対して「特に注意」するよう警告し、ジカウイルスの感染が起きている地域を訪れた後には医師の診察を受けるよう呼びかけている。

コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカの各国政府は今月中旬、ウイルスについて情報がさらに得られるまで、妊娠を遅らせるよう女性たちに呼びかけた。

PAHOは公式には、「妊娠を延期するかどうかは、女性とそのパートナーと医療提供者との間で決めることだ」と促すにとどまっている。

今年8月に夏季五輪が開催されるリオデジャネイロで、五輪公園近くに住むマリア・コンセイサオ・ケイロスさんは、自分の周りでは大勢がおびえていると話した。

「みんな危ない。みんなジカにかかるのを怖がっている。周りには汚れた水、汚染された水があちこちにある。でも蚊に刺されないようにするには、防虫スプレーを使うしか

地球規模の脅威

ブラジル科学院の研究者でロンドン大学・衛生学熱帯医学大学院のローラ・ロドリゲス教授によると、最も被害の大きい地域のひとつはブラジルのぺルナンブーコ州で、50人に1人の赤ちゃんが先天性疾患をもって生まれている。

「昨年11月まで何も知らない状態だった。いきなりの事態で虚をつかれた形だったが、できるだけ早く情報を得て追いつこうとしている」と教授は話す。さらに、「デング熱が発生する地域なら、そこには蚊がいる。蚊がいれば(ジカウイルスも)広がる。米州に留まらず、アジアに広がる可能性もかなりあり得る」と注意を促した。

PAHOは、蚊の繁殖を防ぐため、たとえ少量でも水の入った容器は空にして洗浄するよう助言し、さらに防虫剤を使い、衣服で肌の露出を抑え、窓やドアを閉めておくよう呼びかけている。

WHOのマーガレット・チャン事務局長は、ジカウイルスの集団感染は「非常に心配だ」とコメントした。

(英語記事 Zika virus: Outbreak 'likely to spread across Americas' says WHO)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35406952

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