「あっ、グリーニーを忘れた!」 
練習前に叫んだ投手  


赤坂英一 (あかさか・えいいち)  スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

赤坂英一の野球丸

ジャーナリスト赤坂英一による野球日記。現場目線で、野球の今を深読みしていく。

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清原和博容疑者が覚醒剤取締法違反で逮捕されて以来、巨人でチームメートだった野村貴仁氏の言動が注目を集めている。野村氏の言うように、清原容疑者が巨人時代から覚醒剤を使うようになったのかどうかは、私にはわからない。ただ、野村氏が巨人に在籍していた1998~2001年、グリーニーという興奮剤を常用していたことならよく知っている。

これを使うたら違うぞ
ふだん眠っとるパワーが出てくるんや

iStock

 グリーニーとはアンフェタミン系の興奮剤で、日本の厚生労働省には医薬品として指定されていない。野村氏はこのグリーニーを釣りの道具箱のような小さなバッグに入れ、大きなショルダーバッグの中に忍ばせて持ち歩いていた。こっそりと使っていたわけではなく、結構大っぴらに選手や関係者の前でグリーニーを服用していたという。

 宮崎キャンプでのこと、投げ込みをしようとブルペンに入った野村氏が突然、「あっ、グリーニーを忘れた! おれのバッグ取ってきてくれ!」と言い出し、後輩の若手に使い走りをさせた。その若手が野村氏のバッグの中味を見たところ、グリーニー以外にも筋肉増強剤のアナボリック・ステロイドなど様々な薬物がきれいに整理されて入っており、根深い〝中毒ぶり〟が感じられたという。グリーニーはオリックス時代、元大リーガーの外国人選手から勧められ、その選手のルートを通じて入手していた。「これを使うたら違うぞ。ふだん眠っとるパワーが出てくるんや」という野村氏に感化され、グリーニーに手を出した巨人の選手も何人かいる。私と親しい選手は「すぐやめた」と言っていたが。

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「赤坂英一の野球丸」

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赤坂英一(あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

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