WEDGE REPORT

2016年3月3日

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サイバーエージェントの中核会社が提供する「グランブルーファンタジー」(写真・生津勝隆)

 ある程度大きくなれば、広告宣伝を行い、自社のブランディングをします。「このままではブランドを破壊するような動きになってしまいますよ。これまで数年頑張ってきてここでつまずきますか? 嫌だったらちゃんとやってくださいね」という話をするわけです。例えばの話です。大きくなればなるほど、ブランド価値毀損を嫌がります。

 ──今回問題視されたサイゲームスは、日本を代表する企業に成長したサイバーエージェントの子会社です。

山本 大きな企業があんなに派手なことをやれば当然目立ちますし問題になります。今回サイゲームスが問題を起こさなければ、もう1年法改正の議論が遅れていた可能性はありますね。

 ──抜け道もあり、確実にトラブルを防ぐことは難しそうですね。

山本 この手の問題は今後も繰り返されると思います。ただ、繰り返されることは織り込み済みで、当面の問題をクリアできるような法改正やガイドラインの変更などを行い、その後各国間の調整を必要とするようなものについては、TPPやOECD各国のなかで調整するとか、適法行為を予め類型化して示して個別事例を積み重ねるなど、そういう仕組みでやるということになると思います。

 大切なのは、今回のように消費者が騙されたと思ったときや問題だと思ったときに騒ぐことです。業者の善意を信じて、問題取引を事前に完璧に防ぐということはムリです。最悪の場合、消費者金融の過払い問題のように、過去に遡って返金しなさい、ということになる。「射幸心煽ってこれだけの金を巻き上げましたね」と。これは業界にとっては悪夢以外の何物でもありません。スーパーの牛肉偽装事件や米の産地偽装事件でもあったやり方なので、可能性がゼロではありません。

木曽 射幸心を煽る営業やギャンブルは、やはり法の枠内、常識の範囲内でやらなくてはいけない。

山本 高い収益性を謳う産業には必ずウラがあります。ソーシャルゲーム業界に自浄作用を期待するのは困難です。法改正とガイドラインの見直しに加えて、国際的な枠組みの構築、被害を受けた消費者が声を上げ法的措置をとることによる事後的な制裁などが必要でしょう。

 ●コンプガチャ問題とは
  「ガチャ」とはおもちゃ屋や駄菓子屋などに置いてある「ガチャガチャ」のことで、オンラインゲームでは、レア(稀少)アイテムやキャラクターを得るための仕組みとして用いられている。レアアイテム欲しさに何度も課金してガチャを使用するユーザーがおり、これがゲーム会社の利益の源泉となっている。「コンプガチャ」のコンプとはコンプリート(完成)の略で、例えば「レアカードを6枚揃えると素敵な景品がもらえます」と謳う。徐々に必要なカードが出る確率が下がっていく仕組みのため、コンプリートすることは容易でない。「あと1枚でコンプリートする。次こそ出るんじゃないか」と射幸心を煽り過ぎる仕組みのため、ユーザーが何十万円も注ぎ込む事態が次々に発生し、2012年に社会問題化した。

  
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◆Wedge2016年3月号より


 


 

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