WEDGE REPORT

2016年5月15日

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ガスの天敵である水を抜く大阪ガスの応援部隊

1000人規模の応援隊が貨物船で九州上陸

 東日本大震災の復旧の教訓から「戦力」の逐次投入を避け、大量の人員と資機材を一斉に投入した。復旧応援隊約2700人の内、同社グループだけで約1300人を派遣し、約740台の車両を投入した。

 「遠隔地にこれだけの規模の人や車両、資機材を送るのは初のケース。『兵站』の重要性を再認識した」と振り返るのは、関東・中部エリアの事業者からなる部隊の指揮を取った瀧川浩・同社導管部長。約1200キロ離れた熊本まで陸路で行くと途中で宿泊手配が必要になる。かといって東京近郊から船便で行くと陸路より1日余分にかかる。そこで出した答えが、関西まで陸路で行き、大阪・神戸から九州の5つの港に客船や貨物船で乗り込むという選択だった。

 「陸路より時間がかかったが、宿泊手配が省け、船中では作業員を休ませることができた。東日本大震災のときに、西部ガスが秋田に船で入り、南下して現地入りしたことがヒントになった」(瀧川隊長)と振り返る。

 西部ガス約2000人と約2700人の応援部隊が手分けして復旧にあたる現場を見て回った。復旧手順は、まず道路に埋設されたガス管の検査を行い、損傷箇所を特定する。ガス管の交換などの処置が完了すれば、「人海戦術」で1軒1軒民家を回りながら開栓作業を行うという流れだ。

 ガス管の損傷箇所の特定や修繕に時間を要する場合は、すぐ上流の管を切断して、バルブを取り付ける。本来なら不要なバルブだが、バルブを閉め、その上流エリアの開栓作業を急ぐためだという。

火の国熊本は水の国

 「火の国」で知られる熊本は、地下水が潤沢に流れる「水の国」でもある。この水こそ都市ガスの天敵であり、水が管の中に入ると復旧にかかる時間が3倍長くなると言われている。今回特に水が出たエリアを担当したのが冒頭で触れた大阪ガスの応援部隊だった。

 水が出てからバキュームカーを手配すると復旧計画に大きな遅れが出てしまう。東日本大震災の教訓として、「空振り」覚悟で車両を初めから現地に投入しており、今回はそれが奏功した。

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