海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年5月17日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「オバマ大統領の広島訪問と2016年米大統領選挙」です。現職米大統領として初めてオバマ大統領が広島を訪問します。米大統領は任期終了が近づくと、歴史上自分がどのように語られるのかを考えるようになると言われています。10年後ないし20年後に、国民及び世界がオバマ大統領を振り返った時、同大統領は彼らが何を思い浮かべるのかを自分に問いかけ、歴史に残る理想的な人物像を描くのです。それを実現するために、「レガシー(政治的功績)作り」は最重な意味を持つのです。

オバマ大統領とミシェル夫人と面会(2012年5月5日@南部バージニア州リッチモンド)

 広島訪問を決断したオバマ大統領ですが、今年11月に投票が行われる大統領選挙との絡みが懸念材料になっています。事実上の共和党候補となった不動産王ドナルド・トランプ候補が、同大統領の広島訪問を原爆投下に対する否定及び謝罪であると退役軍人に訴え、「レガシー潰し」に走る可能性があるのです。ホワイトハウスは、その対策として退役軍人にオバマ広島訪問の意義を説明しています。

 さらなる懸念も存在します。今回の広島訪問がクリントン候補にマイナスに機能し、仮に共和党が政権を奪還した場合、オバマ大統領のレガシーである医療保険制度改革は無効となり、同大統領の移民政策を継承した大統領令は新大統領の下では発令されないことになります。つまり、広島訪問は同大統領のレガシーが消えていくリスクを伴っているのです。

 オバマ広島訪問は、大統領選挙とは切り離せません。そこで、本稿では異文化的視点を交えながら、オバマ広島訪問を米大統領選挙の文脈で分析していきます。

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