WEDGE REPORT

2016年6月4日

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 世の中が複雑化し、企業のコンプライアンス(法令順守)体制や説明責任が問われる中、企業は多くの法律に囲まれて経済活動を行っている。そうした企業のリーガル・ニーズをくみ取り、背後で支えているのがビジネス・ローヤー(企業弁護士)である。ウェッジ・インフィニティで書評を担当している中村宏之氏がこのほど、中央公論新社から『世界を切り拓く ビジネス・ローヤー 西村あさひ法律事務所の挑戦』を上梓した。執筆の動機や本書の内容について、中村氏と本書にも登場する同事務所の太田洋弁護士に対談してもらった。

法廷に立つだけが弁護士の仕事ではない

弁護士は企業の用心棒でもある(iStock)

編集部(以下、――) 本書の執筆の動機はどんなところにあったのですか。

中村氏 長く経済記者を続けていて、多くの企業再編などを取材してきましたが、様々な局面で企業を支える弁護士の力が大きいことに気づきました。大きな経済ニュースになる事案の背後には必ず弁護士がいて、効果的な助言や対策を講じていました。企業の側も様々な法律的な課題をクリアしなければならない時代になって、法務サービスのニーズが高まっているという事情があります

太田氏 一般の人々の中にある弁護士像は、刑事弁護のイメージが一般的ですが、私たちが仕事をしている中で、なかなか世間に企業弁護士のイメージがリアルに伝わっていないというもどかしさが正直ありました。本書の取材依頼があった時に、ぜひ実像を知っていただきたいと考えました。

―― 企業弁護士の活動が具体的な事例とともに紹介されているので、イメージしやすいですね。

中村氏 実際に多くの企業弁護士を取材してみて、非常に幅広い領域で活動されているのだなと再認識しました。経済環境の変化に伴って仕事の幅は広がっているのだろうという漠然とした感覚はありましたが、実は十分には理解できていませんでした。

太田氏 我が国における弁護士の職務領域の拡大は1997年の日本の金融危機がきっかけだったと思います。それまではメーンバンクが企業の法務ニーズにも相当程度対応していたものの、金融危機を契機にメーンバンクシステムが崩壊し、銀行が企業の面倒を手取り足取り見ていられなくなった。そうした影響で97年以降に弁護士が関与する分野が飛躍的に拡大したと思います。私の専門分野の一つにアクティビスト・ファンドへの対応がありますが、このほか、国際仲裁を長年担当している弁護士などもいて、現在では我々が取り扱う領域は実に幅広いです。

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