BBC News

2016年7月5日

サンジョイ・マジュムダー、BBCニュース、デリー

「思いつきの犯行じゃありません。男たちは訓練され、どうしたら恐怖を植え付けられるか、はっきり理解していました」――。

バングラデシュの首都ダッカで1日夜に襲撃されたカフェ「ホーリー」のオーナーを、シャハナ・シディキさんは知っていた。事件が夜を通して進展する間、シディキさんは友人のオーナーたちと連絡を取り続け、恐ろしい事態の一部始終を知らされていた。

では、バングラデシュで起きた最悪の武装事件は、いったいどういう男たちが起こしたのか。

全員がバングラデシュ人だったが、国中の注目を集めているのはその経歴だ。

全員が裕福な家庭出身で、国内で最高峰の学校や大学で学んでいた。

救出された人質の一部によると、男たちは整った身なりで英語を話していた。

ニブラス・イスラム容疑者のフェイスブック・アカウントには、友人と撮った写真がたくさん投稿されている。ボリウッド女優と会った時の写真まである。

「ロハン・イムティアズ」と身元を特定された容疑者は、「ダッカのイートン」と呼ばれる、バングラデシュでトップクラスの私立高スコラスティカの出身だった。

父親のイムティアズ・カーン氏は、与党・アワミ同盟の政治家だ。

ロハン容疑者は昨年12月に姿を消し、カーン氏は1カ月後に捜索願を警察に出している。

カーン氏はBBCに「呆然としている。言葉もない。息子がそのような方向に傾いているなどと示すものは、本もなにも、家にはなかった」と話した。

自分の息子がどのように過激主義に走ったのか、まだよく分からないとカーン氏は言う。

「インターネットでかもしれない」

容疑者たちは表面上は、同じようなエリート家庭出身者の多くに共通する、普通の暮らしをしていたようだ。

1人はサッカーをするのが好きで、もう1人は音楽を聴くのが趣味。別の1人は夜中に友人たちとダッカ市内を車で走るのが好きだった。

しかしある時点で全員が別人のようになり、人との接触を避けるようになり、やがて世間の前から姿を消した。

ノースサウス大学はバングラデシュ初の私立大学で、緑の多い閑静な住宅地にある。

ニブラル・イスラム容疑者はここに通っていた。

色々と聞きまわった挙句、ついにひとり、当時の彼を知っていたという人にたどりついた。取材に応じてはくれたが電話のみで、匿名が条件だった。

「キャンパスで見かけました。学食でも何度か会いました」とこの人は言う。

容疑者がどういう人だったか尋ねると「ごくごく普通で、ほかと全然変わりません」という返事が返ってきた。

学生に直接接触し勧誘するイスラム過激主義の組織がいくつかあるのだと、取材相手は説明してくれた。

「最初はなんていうことのない感じで、よくお祈りするかとかそういうことを質問してくる」

学生がこれに反応すると、次には読み物を与えられ、勉強会に誘われる。

「そのうち、こう言われるんです。『今の君は本当の意味で生きていない。聖戦に参加しなさい』と。洗脳される人は少しずつ姿が見えなくなり、そのうちぷっつりといなくなる」

過激主義による暴力事件がバングラデシュで起きるのは、決して初めてのことではない。しかし今回の襲撃は、過激主義の動きが今までになく危険な方向に向かっていることを示すものだと、多くの人が考えている。

セキュリティー・アナリストのシャハワト・ホサイン退役陸軍少将は、「これは単なる始まりだ。まだまだ続く」と警告する。

(英語記事 Bangladesh attack: Searching for the 'affluent jihadists')

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36710962

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