BBC News

2016年10月6日

保守党は政府権限を駆使して、英国に「公平性を復活」させ、富を今までより幅広く配分する――。テリーザ・メイ英首相は5日、バーミンガムで開かれた党大会でこのように演説した。

メイ首相は、ブレグジット(英国のEU離脱)投票という「静かな革命」を経て、英国は変わらなくてはならないと演説。「このチャンスを生かしましょう」と呼びかけた。

党内対立の続く野党・労働党は今では「不愉快な政党」と有権者にみられていると首相は述べ、「弱い者のため強い者に立ち向かえる」のはもはや保守党だけだと強調した。

首相就任から3カ月弱のメイ氏は、「誰もが同じルールの下で活動し、生まれや親の生まれに関わらず、誰もがなりたいものになれるようチャンスを与えられる」国を目指していると語り、国家は働く人を支援するため前向きな力を提供するべきだと述べた。

その上で首相は、欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票は「国を決定的に変更する一世一代のチャンス」だったと評価。国民投票で世論が割れたことは認めつつも、どう投票したかに関わらず「この瞬間に見事に立ち会うため、私と一緒に進んで欲しい。一緒にこのチャンスをとらえてほしい」と呼びかけた。

多くの英国民がEUを拒絶したのは、英国に影響する政策や法律の決定に英国がもっと決定権を持ちたいからというほかに、何十年とかけて出来上がってしまった国内の深い分断を反映していると首相は指摘。労働者が「特権と権力のある人々」にあまりに無視されていると批判した。

「金融危機の後に最大の犠牲を払ったのは、富裕層ではなく、一般の労働者階級世帯だった」と首相は述べた。

「家計の支払いが一気に増えたのに、仕事を失ったり、就労時間を減らされたり、給料が下がったりした人なら、あるいは、これを認めたくない人が大勢いるのは知っているけれども、低技能移民のせいで職を失ったり給料が下がったりした人なら、世の中はまったく不公平だと思うはずです。他人のせいで自分の夢が犠牲になったと、そういう感じがするでしょう」とメイ氏は述べ、政府として雇用を守り、適正に機能しない自由市場は「修理する」と約束した。

「責任ある資本主義」を目標として掲げた首相は、納税は「任意オプション」に過ぎないと考える企業や、英国労働者をないがしろにして「安い外国人労働者」を雇う企業を、「追及していく」と強い姿勢を示した。

メイ氏はさらに、過去の保守党党首は国家の市場介入を減らそうとしてきたが、自分の政府は不正を特定し解決策を見つけて変化を推進するため、速やかに行動するつもりだと強調。さらに保守党こそが「普通の労働者階級の人たち」の党になるべきだと呼びかけ、「政治家や評論家が一般市民について、何と聞いてみるといい」と批判した。

首相は、政界やメディアの一般市民との分断を指摘し、「(市民の)愛国心は不快だと言い、移民問題を心配するのは視野が狭い、犯罪についての考えはリベラルでないし、職を守りたいと思う気持ちは不都合だと、市民をみている。1700万人以上もの人が欧州連合から出たいと投票した事実に、ひどく混乱してまったく受け入れられずにいる」と述べた。

メイ首相が7月に解任したマイケル・ゴーブ前司法相はツイートで、首相演説を称賛。「経済活動の支援において政府の役割は不可欠だ。政府はインフラを提供し、市場がすべての人にとって機能するようにしなくてはならない。富の生成には市場が必要だが、不平等と、富を手にする資格のない富裕層のぜいたくのせいで、市場への応援が損なわれている」と書いた。

しかし労働党は、首相演説は右寄りにはっきりと舵を切った内容だと反論。選抜制の公立中学高校(グラマースクール)増加を目指す首相の方針は「後ろ向き」だし、「金融メルトダウン」状態にあるのに国民医療制度を救うために何も手を打っていないと批判している。

かつて保守党と連立を組んでいた自由民主党は、保守党は今や「国民を分裂させる、無軌道で国民を大事にしない」党だと批判。さらにスコットランド国民党(SNP)は、従業員の何割が英国民でないか企業に公表を求める保守党の提案について、「きわめて不快」と非難した。

SNPのニコラ・スタージョン党首は、「テリーザ・メイが語るブレグジット英国のビジョンは、非常に醜い国の姿だ。人が能力や、社会への貢献によって判断される国ではなく、出身地やパスポートで判断されてしまう国だ」と警告した。

(英語記事 Theresa May: I'll use power of state to build fairer Britain

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37571578

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