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2016年10月18日

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米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の国務長官時代のメールをめぐり、17日に公表された米連邦捜査局(FBI)資料から、クリントン長官のメールの機密度を引き下げるよう国務省幹部がFBIに働きかけ、交換条件を提示していたことが明らかになった。FBIも国務省も、そのような取り引きで合意したことはないと否定している。

クリントン氏が国務長官時代に公務メールを私用サーバーで扱っていた件でのFBI捜査に関する資料約100ページが、情報公開法にもとづく請求を受けて、17日に公表された。その中で、2012年のリビア・ベンガジ米領事館事件に関するクリントン氏のメールについて、機密扱いを取り消すよう、パトリック・ケネディ国務次官が昨年夏、FBI関係者に働きかけた様子が示されている。FBI関係者の名前は削除されている。

資料によると、ケネディ国務次官は交換条件として、「FBIの駐在を現在禁止されている国々にFBIエージェントの派遣を認める」よう手配すると申し出たという。

FBI資料の公表を受けてマーク・トナー国務省報道官は、見返りの交換などなく、クリントン氏のメールについて話し合った際にイラク駐在のFBI増員に言及したのはFBI関係者だったと述べた。

ここで問題となっているメールは、国務長官時代にクリントン氏が使用していた私用サーバーからFBIが押収したメール約100通の一部。FBIと国務省は、クリントン長官のメール公表に先駆けて内容を詳しく精査。FBIはは後にこの約100通を機密指定した。FBIのジェイムズ・コーミー長官は今年7月、クリントン氏とスタッフは「極めて不注意」だったものの、起訴に相当する内容はなく、「まともな検察官」ならば立件しないと述べ、FBIとして司法省に訴追は適当ではないと勧告すると発表した。

クリントン氏の私用サーバーのメール問題は、内部告発サイト「ウィキリークス」がこのところ相次ぎ漏洩している、選対関係者のメールとは別件。

FBI文書によると、ケネディ国務次官は同じFBI関係者との次の会合でもメールの機密等級を話題にし、15分間かけてFBI関係者を説得しようとした。さらにFBIテロ対策部門のマイケル・スタインバック氏にも説得を試みたという。

共和党幹部のポール・ライアン下院議長は、これは「隠蔽工作そのものだ」と批判。共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は「信じられない」とツイートした。

しかしトナー国務省報道官は、問題となる行為は何もなく、ケネディー次官は単に、なぜ問題のメールが機密指定されているのかを尋ねただけだと説明した。

「ケネディ次官は、情報の公開を控える際のFBI手続きを理解しようとしていた」、「報道されたように、機密指定をめぐり省庁間で話し合いが続いていた」とトナー氏は説明した。

公表されたFBI文書には、ほかにも国務省とクリントン氏について注目される点がいくつか含まれていた。

・国務省外交保安局の元エージェントによると、クリントン氏はしばしば警備や外交上の決まりごとを「はなはだしく」無視した。訪問先の外国で地元の大使たちとの会合にしばしば欠席したため、現地の外交使節はしばしば「侮辱され恥をかかされた」と感じていたという。

・国務長官としてインドネシア・ジャカルタを訪問した際、警備チームの助言を無視して市内の危険な区域を訪問した。「選挙用の」写真撮影のために、「クリントン(長官)とスタッフとマスコミと警備担当たちを、不要な危険にさらした」という。

・「影の政府」とも呼ばれる国務省幹部グループが毎週会合を開き、クリントン氏に関する情報公開請求について話し合った。通常は公開請求のあったメールは段階的に公開されるものだが、この幹部グループは一度に公開した方がいいと希望していた。実際には、段階的に公開された。

・クリントン長官時代の国務省では、警備や外交上の決まりごとが破られていたという。匿名の発言者は、長官就任から間もなく「彼女(クリントン氏)とスタッフが、国務省内からランプや家具を持ち出し」、ワシントン市内のクリントン氏の自宅に運び込む様子が目撃されていたと話している。発言者によると、こうした政府資産が返却されたかは不明だという。

(英語記事 Clinton emails: 'Quid pro quo' bid to bury Benghazi message

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37687342

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