世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月30日

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 この論説は、中国の経済発展は政治の自由化につながるとの考えを幻想として退けたものです。現在の中国の動きはこの論説通りの様相を示しています。経済成長は著しいですが、政治的な弾圧はますますひどくなっています。

 韓国や台湾では経済発展とともに民主化が進むという現象が見られました。経済発展は、経済活動の自由、個人の企業家精神が自由に活動する時に起こる場合が多いものです。統制経済や計画経済は、経済発展の初期段階では有効なことがありますが、経済が複雑化すると、経済的自由、市場経済化が発展のために必要となります。そして、経済的には自由、政治的には不自由というわけにはなかなかいきません。

経済的自由と政治的不自由

 しかし、中国では経済的自由と政治的不自由が共存しています。中国共産党の統治を守り抜くことが国内の安定のために至上命題になっているからではないでしょうか。中国については、経済の発展は民主化につながるというのは幻想であるという主張は、中国の現状を見る限り正しいです。

 なぜそうなのか、それは今後も続くのか、よく考えてみる必要がありますが、この論説の言う「中国幻想」は捨てて、物事を見る方が良い政策選択につながるように思われます。

 最近の6中全会は、習近平を「核心」と位置づけ、権力集中を進めました。集団指導体制とは言われていますが、独裁的な色彩が強くなっています。この論説は、そうした動きもある中、時宜を得た良い問題提起をしています。

 なお、民主的な諸国の政府が中国の弾圧非難で団結することがこの論説の提言ですが、そういうことが中国政府を動かすとは考え難いです。中国が変わるとすれば、中国内部からではないかと思われます。

  
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