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2016年12月9日

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は8日、シリア政府軍が北部の主要都市アレッポでの反政府勢力に対する攻撃を一時停止したと述べた。包囲下にある住民を避難させるためだという。

米独外相などと会談するためドイツ北部ハンブルクを訪れていたラブロフ外相は、一時停戦で約8000人が避難できるだろうと語った。

米ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、「前向きな展開も可能だという印だ」と、ラブロフ氏の発言を歓迎したが、「現場で実行に移されるのか待ってみる必要がある」と述べた。

「この状況に我々はこれまでも、ロシア側の発言を注意して聞き、行動をしっかり確認する形で対応してきた」

政府軍はここ数週間で、反政府勢力が過去4年間掌握していたアレッポ東部の75%を奪還している。現地で取材するBBC記者によると、戦闘は下火になったものの、完全に止んだという兆候はみられないという。

ラブロフ外相は、「民間人を避難させる大規模な作戦が始まっている。そのため、アレッポ東部でのシリア政府の戦闘行為は本日止まったとお伝えできる」と語った。

同外相はさらに、米ロの軍事専門家が10日にジュネーブで、アレッポ和平に向けて協議すると述べた。

米国務省の報道官は、ジョン・ケリー国務長官がラブロフ外相と会談し、人道支援提供と民間人退避のための停戦を協議することで合意したと、確認した。しかし、10日に予定される専門家協議については、「具体的な内容」は「まだ調整中」だとした。

これに先立ち、ジュネーブの国連欧州本部を訪れていたアレッポ地方評議会のブリタ・ハジ・ハッサン議長は、「15万人が死に直面している」と警告した。同議長は、過去4週間で800人が死亡し、最大3500人が負傷していると語った。

ハッサン議長は、「殺人、爆撃、流血を終わらせ、市民が安全に避難できるルートの提供を要求する」と述べた。

7日深夜には、政府軍が掌握したばかりの旧市街で、高齢者や障害者を中心とする148人が施設から避難した。

国際赤十字社(ICRC)とシリア・アラブ赤新月社(SARC、国際赤十字に相当)が協力して避難を可能にした。多くの人はすでに負傷していたか、動けない状態で、何日も外に出ることができずにいた。

支援が到着するまでに11人が死亡した。戦闘に巻き込まれたか、十分な薬がなかったためだという。

国連の対シリア人道支援タスクフォースを率いるヤン・エゲランド氏は、避難作戦を「英雄的」と称賛したが、避難はこのような状況下で「起きるべきではない」と述べ、人道支援の回廊を設けるべきだとした。

エゲランド氏はジュネーブで記者団に対し、それぞれ内戦の双方の側を後押しするロシアと米国が、依然として「対極」の立場にあるという考えを示した。

国連のスタファン・デミストゥラ・シリア担当特使はニューヨークで記者団に対し、ドナルド・トランプ次期米大統領の政権移行チームと会う予定だと述べた。ただ時期については明らかにしなかった。

アレッポは、2011年にバシャール・アル・アサド大統領への抗議活動が激化するまでシリア最大の都市で、商業や工業の中心地だった。

2012年中ごろからアレッポは相反する勢力の支配下に二分されていたが、イランが後押しする民兵やロシアによる空爆に助けられたシリア政府軍が勢いを得て、今年9月初旬には反政府勢力を包囲下に置いた。

(英語記事 Syria conflict: Army 'suspends Aleppo fighting'

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38259213

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