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2016年12月22日

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19日夜にドイツ・ベルリン中心部で開かれていたクリスマス市にトラックが突入し、12人が死亡し49人が負傷した事件で、当局が追跡中のチュニジア国籍のアニス・アムリ容疑者(23)が、今年に入って監視下に置かれていたことが21日、明らかになった。またトラックを襲われたポーランド人の運転手は、容疑者に刺されても抵抗し続けていた様子だという。

アムリ容疑者が銃購入の資金を得るため強盗を計画していたとの容疑で、当局が監視を始めたが、証拠不十分で中止された。

ドイツ入国前のアムリ容疑者は、イタリアで放火の罪で4年間服役していたほか、チュニジアでは被告不在のまま有罪となり、量刑を言い渡されていた。ドイツでは、難民申請をしていたが、却下されていた。

アムリ容疑者の在住許可書が事件で使われたトラックの運転席で見つかったことを受け、同容疑者の逮捕状が出された。

独当局者は、アムリ容疑者が武装している可能性があり危険だと警告している。逮捕につながる情報の提供者には最大10万ユーロ(約1230万円)の報奨金を支払う。


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アムリ容疑者がトラックを奪う際に、運転手と取っ組み合い負傷したかもしれないとの見方がある。運転手はトラックの中で遺体で発見された。

アンゲラ・メルケル首相は21日に安全保障の担当閣僚らと会合を開き、事件の捜査について協議した。

ドイツ政府は先月、公衆が集まる場所での防犯カメラの設置をより容易にする法案を閣議決定している。

6つの偽名

ドイツの司法当局は、昨年ドイツに入国したとされるアムリ容疑者がベルリンで、今年3月から9月にかけ監視下にあったと明らかにした。アムリ容疑者には、自動小銃の購入資金を得ようと強盗を計画しているとの疑いがかけられていた。

監視下のアムリ容疑者はベルリンの公園で麻薬の取引に関わったり、バーで騒ぎを起こすなどしていたものの、強盗を計画しているわけではないと判断され、監視は中止された。その後のアムリ容疑者は、よく出入りする場所に姿を見せなくなっていた。

独西部ノルトライン・ヴェストファーレン州のラルフ・イェガー内相は、対テロ警察がアムリ容疑者への捜査を始めていたと明らかにした。

イェガー内相は、「治安を担当する各機関はこの人物に関する情報を今年11月に統合テロ対策センターで共有していた」と語った。

南ドイツ新聞はアムリ容疑者が、今年11月に逮捕されたイスラム教説教者でアブ・ワラアと呼ばれていたアハマド・アブデラジズ容疑者と親しかったと報じた。

警察はアムリ容疑者が使っていた6つの偽名を公表した。同容疑者はエジプト人やレバノン人を装った時もあるという。

アムリ容疑者が今年6月に国外退去させられる予定だったが、チュニジアでの受け入れ手続きが遅れていた。

容疑者の兄弟でチュニジアに住むアブデルカデル・アムリさんはAFP通信に対し、アムリ容疑者の顔を報道で見た時は信じられない思いだったと語った。「ショックだ。こんな犯罪を犯したのが彼だとは信じられない。もし本当なら、どんな非難も当然だ」。

アムリ容疑者には犯罪歴があった。父親や治安関係者がチュニジアのラジオ局に語ったところによると、同容疑者はチュニジアを7年前に出た後、イタリアの学校で起きた火災をめぐり4年間服役していた。またチュニジアでは、暴力を使った悪質な窃盗の罪で、被告不在のまま5年間の禁固刑の判決を受けたという。

事件直後に拘束された、パキスタン国籍の難民申請者の男性は、20日に嫌疑不十分として釈放されている。

トラック運転手は刺されても抵抗

トラック突入による攻撃をめぐっては、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。ISは戦闘員の1人が攻撃を実施したとしたが、証拠は示されていない。

攻撃に使われたトラック内には、ポーランド人の運転手ルカシュ・ウルバンさんの遺体があった。

大衆紙ビルトによると、捜査当局は、トラックが19日午後にベルイン北西部の工業地帯で襲われ奪われたとみている。

ウルバンさんは、運送していたイタリア製鉄骨の納入が20日に延期されたことを受けて、停車していた。

全地球測位システム(GPS)記録では、市中心部に向かう前の午後7時40分にトラックの動きが、「誰かが運転の仕方を覚えようとするような」小刻みの動きを見せていたという。

現場検証からは、ウルバンさんは刃物で刺された後も、ハンドルを渡さず襲撃者と取っ組み合いをしていたことが示されている。

遺体の検視の結果、ウルバンさんはクリスマス市の攻撃時まで存命で、トラックが停止した後に銃で撃たれて死亡したとみられている。犯行に使われた銃は見つかっていない。

警察は、数百件に及ぶ市民からの情報提供を受けているほか、トラックの中で採取したDNAの痕跡も調べていると述べた。

傘下のメディアを通じた犯行声明でISは、攻撃は「有志連合に参加する国の人々への攻撃の呼びかけに答えて」実行されたと述べた。

連邦検察のペーター・フランク氏は記者団に対し、攻撃の手口や標的の選び方からはイスラム過激主義との関連がうかがえると話した。

(英語記事 Berlin truck attack: Tunisian fugitive 'had been under surveillance'

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38400492

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