オトナの教養 週末の一冊

2017年3月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――慎さんは、実際に2カ所の一時保護所に住み込んだ経験があるということですが、具体的にどこに問題があると感じましたか?

慎:1つは、自由が著しく制限されていることです。例えば、一時保護所に入る際、私物は全て没収されます。

 また多くの保護所内は、窓は5センチほどしか開きませんし、もし保護所から逃げ出してもすぐに保護できるようにと、子どもたちは靴下で、職員はスニーカーで過ごしています。

 生活面では男女は別々に行動し、たとえきょうだいであっても話してはいけない施設が多く、プライバシーに関することを、他の子と話すことも禁止されています。またテレビを見たり、トイレへ行くのにもいちいち職員に許可を得なければいけないのも特徴です。

 また、平日は1回45分の学習時間が3回設けられています。しかし授業を受けるわけではなく、各自のレベルに合った国語もしくは算数や社会のプリントを解くだけです。

 このような厳格なルールについて、職員達はトラブルを避けるためだ、と言います。

――ほとんどの子どもたちが、保護者からの虐待やネグレクトを受けた被害者であるにもかかわらず、さながら刑事事件の被疑者が入る留置施設のような場所に保護されるんですね。

慎:まさにそうですね。

 例えばある地域の一時保護所の場合、前身が犯罪をしたり、そのおそれのある児童の自立を支援する教護院が母体となったという経緯があるので、そこでのやり方を引き継いでいます。

――勉強は限られた科目のプリントのみとのことですが、保護されなければ学校に通い授業を受けているはずですよね。

慎:現在、一時保護所の平均滞在期間は1カ月ですが、中には1年滞在する子どもいます。それだけの期間、プリントのみだと、学校に戻っても授業についていけなくなり、中退予備群や不登校予備群になる可能性が高くなります。

 こうした状況に対し、一部の人たちは「元々勉強の習慣がなかった子どもたちが、一時保護所で初めて勉強を習慣とするのだから良いじゃないか」と言います。だからといって、このような状況を許容できるわけがありません。それは物事を取り違えていると思います。例えば、学習の習慣がない学生の多い学校で、授業をきちんとしないで、プリントだけで済ませていたら大問題になりますよね。

 このように移動の自由や学習の自由といった自由権が大きく侵害されているのは、子どもたちにとって大きな問題です。

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