BBC News

2017年4月12日

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ホワイトハウスのショーン・スパイサー大統領報道官は11日、ロシアのシリア支援を批判するなかで、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーでさえ化学兵器は使わなかったと発言し、批判された。報道官はその後、発言を謝罪した。

ホワイトハウスは、シリア北西部イドリブ県で89人が死亡した化学兵器の使用が疑われる攻撃について、アサド政権によるものだと断定し、さらにアサド政権の後ろ盾となっているロシアを非難している。この姿勢を説明するなかで報道官は記者会見で、「第2次世界大戦でも化学兵器は使わなかった。ヒトラーほどおぞましい人でさえ、化学兵器を使うところまでは落ちなかった。だからロシアとしては、そのような国や政権と同じ側に立ちたいのか自問する必要がある」と発言。

ユダヤ民族のエジプト脱出を祝う「過越の祭り」の最中の発言だけに、記者団はただちに反応し、発言について説明を求めた。すると報道官は、混乱した様子で真意を説明(カッコ内は編集部注)しようとした。

「サリンガスについては、違う、アシャド(「アサド」の間違い)がやっているのと同じようには、彼(ヒトラー)は自分の国民に使ったわけじゃない」と述べた。さらに、「なかった、そこでは、ホロコースト・センター(強制収容所の意味か)に連れていった。それは分かってる。私が言いたいのは、アサドがやったような形では、町村に行って罪のない、町の真ん中に持ち込んで、そこで使ったのは、説明の機会はありがたいが、そういうつもりではなかった」

しかしナチス・ドイツがユダヤ人や反政府勢力、障害者、同性愛者、ロマ族などを殺人ガスで集団虐殺したことをソーシャルメディアなどで大勢に指摘され、批判されたスパイサー氏はその後、謝罪文を発表。

「誤って、不適切かつ無神経な形でホロコーストをたとえに出したが、比較できるようなことではない。謝罪する。間違いだった」と謝った。

米政府は、シリア政権がイドリブ県で化学兵器を使用したと断定しているが、シリアはこれを否定。ロシア政府は、反政府勢力の化学兵器貯蔵庫が爆撃で破損したのが原因だと、反政府勢力を非難している。

ビル・クリントン元大統領夫妻の娘、チェルシー・クリントンさんは、「大統領報道官にはホロコースト博物館を訪ねてもらいたい。すぐ近くなので」とツイートした。

ベン・カーディン上院議員(民主党、メリーランド州)もツイッターで、「誰か大急ぎでヒトラーについて、大統領報道官に復習授業を受けさせて」と書いた。議員はさらに、報道官が「ホロコースト・センター」という表現を使ったことを問題視。「ショーン・スパイサー、ほんとに? それは『強制収容所』と言うんだ」と続けた。

米国の「アンネ・フランク・センター」は、ドナルド・トランプ大統領にスパイサー氏の罷免を要求。スティーブン・ゴールドスタイン所長は、「しかもよりによって、過越の祭りの日に。ショーン・スパイサーはホロコースト否定に手を貸した。ヒトラーが何百万人ものユダヤ人をガスで殺したことを否定するという、最もあり得ない形のフェイクニュースを口にした」と非難し、「特定の民族に対してこれほど悪辣(あくらつ)な侮辱を」ホワイトハウス報道官がかつて口にしたことはないと述べ、解任を求めた。

トランプ政権は今年1月にも、国際ホロコースト記念日にあたってユダヤ人やユダヤ教やユダヤ人差別にまったく触れないコメントを発表し、批判された。この時にはラインス・プリーバス首席大統領補佐官が、トランプ大統領の娘婿ジャレド・クシュナー氏など家族にユダヤ系がいることを指摘し、「何も悪意はなかった」と説明していた。

(英語記事 White House gaffe on Hitler and chemical weapons draws ire

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39574335

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