
1万円からネットで気軽にできる
不動産投資が好評に
30代から50代の現役世代を中心に、不動産クラウドファンディングが注目を集めている。資産運用会社がインターネットで資金を募り、それを元に購入した不動産から得られる家賃収入などをリターンとして、投資家へ配分する仕組みだ。国土交通省の資料によると、不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングの出資額は令和5年度で約1007億円。前年比で約1.7倍、4年間で30倍近い伸びを示している。
うち約200億円の出資額でシェア2割を占め、この動きを牽引しているのが「不動産投資を変え、社会を変える」をミッションに掲げるクリアル株式会社だ。代表取締役社長執行役員CEOの横田大造氏はこう話す。

「不動産投資はこれまで、物件選びや購入、管理のすべてを自身で行う必要があり、労力も資金も知識も求められるため機関投資家や一部の富裕層に限られた領域でした。このプロセスをITの力で変革し、誰もが気軽に不動産に投資できる仕組み、いわば『不動産の民主化』を実現したいと考えています」
このため同社では、1口1万円からネットで手軽に投資できる不動産クラウドファンディングサービス「CREAL(クリアル)」を開発。個人には敷居が高かった不動産投資を身近なものに変えることに成功した。
その最大の特長は徹底した情報開示にある。動画による物件紹介をはじめ、イラストを用いた投資ポイント解説、リスクの考え方、多彩なシナリオによるリターンシミュレーション、不動産鑑定会社による第三者評価など、あらゆる情報を公開。これまで不動産業界の課題とされてきた「情報の非対称性」に一石を投じている。また、すべての案件が同社との共同出資であり、一定範囲で同社が優先的に損失を負担する優先/劣後方式を採用している点でも安心だ。
ESG不動産投資で
経済的・社会的リターンを実現
さらに、「ESG不動産」を投資対象とするファンドを展開していることもクリアルの特長の一つ。保育園や学校、ヘルスケア関連といった社会的ニーズの高い物件である。
「こうした不動産は社会的に必要とされ、安定した利益が望めるにも拘わらず、比較的規模が小さく、投資実績も不足しているため資金調達が困難でした。当社はクラウドファンディングでこの課題を解消し、ESG不動産領域や地方創生領域への資金循環を促すことで、経済的リターンと社会的リターンの両立を図っています」
実績も好調で、ESG不動産ファンドへの累計調達金額は2024年3月末で50億円を超えた。個人金融資産約2200兆円の5割に上る現預金をいかに動かし、資産運用立国を実現するか。社会課題解決にもつながるESG不動産投資を含めた、資産運用プラットフォームの構築を目指す同社に注目だ。