中東を読み解く

2017年8月28日

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“リトル・イラン”

 もう1国、タリバンへの援助を水面下で強化しているのがアフガン西隣のイランだ。イランとタリバンは元々、シーア派とスンニ派という宗教的な対立もあって敵対していた。特に1998年、イランの外交官ら11人がタリバンに殺害される事件があり、両者の関係は極度に悪化した。

 しかし、イランは米国によるタリバン政権打倒、その後のNATO軍のアフガン駐留の頃からタリバン支援に方針転換した。米紙などによると、イランは米軍を追い出して、アフガンに親イラン政権を樹立することを目標にしており、タリバンに武器や資金を供与し、戦闘員に軍事訓練を施して戦場に送り出している、という。

 この他、イランは多数の秘密情報員、暗殺部隊などもアフガニスタンに送っている。アフガン西部のヘラートは“リトル・イラン”と呼ばれており、イランの大学やペルシャ語の本屋などもある。とりわけイランはロシアとともに、シリアでアサド政権を援助して勝利を収めたことに自信を深め、アフガンでも2匹目のドジョウを狙っている。
 
 イランとタリバンとのつながりが鮮明になったのは、2016年5月にパキスタン南部で発生した米無人機によるタリバン指導者マンスール師の殺害事件だった。この時、マンスール師はイラン訪問から帰ってきたところで、米紙によると、同師はイランで、イラン、ロシア両当局者と会談し、武器、資金援助について協議したのではないかとされる。

 この対アフガン秘密作戦は、穏健派のロウハニ大統領には詳しく知らされておらず、対外作戦の責任者ソレイマニ将軍ら革命防衛隊の幹部がハメネイ師からの直接的な承認を得て、行っていると見られている。トランプ政権は今後、こうしたパキスタンやイランの関与にも対応していかなければならず、アフガン戦略成功の見通しは一層、困難なものになっている。

  
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