WEDGE REPORT

2017年8月8日

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 米有力紙ニューヨーク・タイムズは6日、共和党の有力者らが2020年の次期大統領選挙に向けて始動、ペンス副大統領も”影の選挙運動”を開始したと報道し、ワシントンに激震が走っている。歴史的な支持率の低さに喘ぐトランプ大統領の再出馬なし、を見込んだ動きだが、夏休み中の大統領にとっても衝撃的だ。

(Dynamic Graphics/iStock)

側近らが有力者に協力を要請

 同紙によると、共和党のサス上院議員(ネブラスカ州選出)やコットン上院議員(アーカンソー州選出)、そして昨年の大統領選に出馬したケーシック・オハイオ州知事ら有力者が、大統領選予備選挙が最初に実施される中西部のアイオワ州などを訪問するなど実質的な選挙運動を始めている。

 ペンス副大統領も政治資金団体「偉大なアメリカ委員会」を設置するなど精力的に資金集めや人脈づくりを進めており、まだトランプ政権発足半年にもかかわらず、大統領選挙を目指す「2期目の副大統領」のように、政治的な日程が詰まっていると伝えられている。

 しかも副大統領の新しい首席補佐官であるニック・エアーズ氏と側近であるマーティ・オブスト氏が有力献金者らとの6月の会合で、トランプ大統領が再選を目指さない場合、ペンス氏が大統領選に出馬する用意があることを仄めかし、協力を要請したという。

 注目されているのは、先月に首席補佐官に任命されたエアーズ氏の起用だ。同氏は連邦政府に勤務したことはないが、多くの選挙で関わってきたことで知られており、この異例の抜擢は次期大統領選挙に備えたものではないか、との憶測を呼んでいる。

 こうした動きが表面化しているのは「(共和党有力者らが)トランプ大統領に弱さを見ている」(マケイン上院議員)からに他ならない。最新の世論調査で、33%と歴史的な支持率の低さに喘いでいるのに加え、今後ロシアゲートの捜査が進めば、トランプ氏が再選出馬を取り止めるか、出馬断念に追い込まれるかもしれない、という思惑が背景にある。

 しかし、ペンス副大統領の動きが事実とすれば、トランプ氏の再選の可能性を否定した“裏切り”と受け止められるのは必定。このため、ペンス氏は報道の直後に声明を発表し、「全くの誤りで、政権を分断する試みだ」と真っ向から野心を否定。「どんなうそニュースが出ても、トランプ氏は再選される」とあくまでも大統領への忠誠を誓って見せた。

 これに対して、「うそニュース」呼ばわりされたニューヨーク・タイムズは「記事の正確性には自信を持っている」との声明を発表して反論。同紙によると、記事は共和党議員、献金者、党の戦略専門家ら75人以上に対するインタビューを基に執筆された、という。

 共和党とトランプ大統領の間にはすでにすきま風が吹き始めている。トランプ氏は目玉公約である医療保険制度改革(オバマケア)見直しなどが議会で成立しないことを党の責任と非難。議会が夏休みを取らないで審議を続けるよう要求したが、上院はこれを無視して4日から夏休みに入った。

 トランプ氏が“魔女狩り”と叫ぶロシアゲートの捜査でも、大統領によるモラー特別検察官の解任を阻止すべく、党の一部から法案が提出された。大統領が最近、渋々署名せざるを得なかったロシア制裁強化法案も、大統領の反対を押し切って議会が成立させたものだった。

 こうした大統領へ反旗を翻す動きはホワイトハウスが人事や政策決定などで大混乱に陥っていることが背景にあり、共和党の幹部の中からもトランプ氏に代わってペンス氏が次期大統領選に出馬した方がいい、という声も聞かれるようになった。

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