2024年5月9日(木)

WEDGE REPORT

2017年8月8日

大統領補佐官の解任騒動

 当のトランプ氏は8月4日からニュージャージー州ヘッドミンスターの自分のゴルフ場の施設で17日間の夏休み中。6日には、自身のフェイスブックにこの半年間の業績を誇った「真実のニュース」という動画を掲載し、メディアと対抗する構えを誇示したが、ペンス副大統領らが影の選挙運動を行っているというニュースは同氏にとっても衝撃的だったと見られている。

 しかし、大統領の夏休み入りの中、ホワイトハウスの混乱と権力闘争が新たに表面化した。今回は国家安全保障担当のマクマスター補佐官とバノン首席戦略官との対立だ。マクマスター補佐官は8月2日、国家安全保障会議(NSC)のコーエンワトニク上級部長を解任したが、これにバノン氏ら保守派が反発。

 マクマスター補佐官はこの他にも、7月にバノン氏に近いNSCの幹部2人を解任しており、両者の確執が高まっていた。とりわけ最近では、アフガニスタンへの米軍の追加派兵を主張するマクマスター氏と反対するバノン氏の対立が激化していた。

 保守系のメディアやトランプ氏の支持母体である保守強硬派グループは「マクマスターを解任しろ」とする異例のキャンペーンを展開し、大きな騒動になった。このためトランプ大統領が4日、マクマスター補佐官を支持する声明を出して取りあえずその場は収まった。

 今回の事態収拾は、マクマスター補佐官の後ろ盾であるケリー新首席補佐官が大統領に取りなしを求めたためと見られているが、大統領は同補佐官のアフガン政策などに強い不満を抱き、アフガン駐留軍のニコルソン司令官の解任を主張しており、政権の安定は今後も望めそうにない。
 

  
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