ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年9月1日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

会社で夕食をすませてしまうか、帰るまで我慢するか

 健康のためには「規則正しい食習慣」が好ましいことは、多くの人が知っている。もちろんビジネスパーソンだってこれくらいはご存じのはず。しかし、わかってはいても、いつも同じ時間には食事を食べられないのがビジネスパーソン。とりわけ夕食を決まった時間に食べるのは至難の業。

 「そんなことはわかってる。好きで残業してるわけじゃないんだ!」と叱られそうだ。夕食の時間になっても外出中であったり、仕事の締め切りに間に合わなかったりして、残業をせざるをえないというケースが多いのだろう。そんなとき「帰宅がかなり遅くなるのを承知で、思い切って夕食を食べてしまう」か「食べずに我慢して仕事を少しでも早く終わらせて、退社後にゆっくりと夕食を食べる」かの判断を迫られる。

(iStock/Milatas)

 健康との兼ね合いからいうと、このいずれもが、あまり好ましくない。仕事の途中で食べる夕食は、その内容を吟味できることは少なく、ラーメンやカレーや牛丼などの、いわゆる「一皿物」になってしまうことが多いだろう。一皿物の問題点についてはこのコラムの第6回を読んでほしいのだが、カロリーが多い割には満足感が低く、かつ、摂食時間が中途半端なために、その日のうちにもう1度食事をすることになる可能性が高い。この「寝る前の2度目の夕食」が肥満の元になるし、さらには、翌日の朝食を食べたくなくなるなどの生活習慣の乱れにつながる。

 逆に、食べずに仕事を続けるとどうなるだろうか? 食事をしない時間が長くなると、血糖値(血液中のブドウ糖量)が低くなる。食事量が(食事回数が)多すぎて高血糖状態が長く続くと糖尿病などの原因になるので好ましくないが、かといって逆に低血糖状態が長くなりすぎるのも好ましいとはいえない。脳細胞は血液中のブドウ糖(つまり血糖)しかエネルギー源として利用できないので、低血糖状態では頭の働きが悪くなる。せっかく残業をしていても、能率が悪かろう。

 また(こちらのデータは持ち合わせておらず、個人の経験によるところが大きいのだが)人は空きっ腹で、そして「早く帰りたい」という焦った気持ちで仕事をすると、作業効率が悪くなるのではないか。ミスも多く、業務に差し障りも出るのではなかろうか。

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