ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年10月4日

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クリス・ネルソン (Christpher Nelson)

政治ジャーナリスト

アメリカのシンクタンク「サミュエル・インターナショナル・アソシエイツ」所属。特に日本、中国・台湾、朝鮮半島問題に焦点を当てたアジア外交政策のコンサルタント。1970年より下院外交委アジア小委員会のスタッフや上院民主党政策委員会のアジア政策顧問などを歴任した経験により、議会のみならず米政権の内情に詳しい。現在は、外交政策や通商問題のインサイダー情報誌「The Nelson Report」発行。

  今月のコラムでは、我々が答えるつもりのない問いかけをしたい。答えは皆さんが出すしかないんです!

 恐らくこれまでに、WEDGE Infinityの読者の大半は、米国を席巻する「ティーパーティー」と呼ばれる政治現象について、少なくとも何かしらは耳にしているだろう。英国の植民地だった米国各州で税への反乱の口火を切り、1776年の米国独立革命を誘発した有名な「ボストン・ティーパーティー事件」にちなんだ呼び名だ。

 ここ数カ月間の世論調査の傾向や、上下両院の議席を巡って民主党候補と戦う共和党候補を選ぶ各州の選挙で唖然とするような「番狂わせ」が起きていることから判断すると、ティーパーティー現象は米国にかなり甚大な政治的影響を及ぼすかもしれない。

 問題は、これが短期的な反発なのか、それとも真の大変化なのか、という点だ。ティーパーティーは、政界の勢力図を根本的に塗り替えるのだろうか? ことによれば、大統領を選出できる正真正銘の新党が生まれるのだろうか?

 米国で最後にそれが起きたのは1860年の大統領選挙だ。分裂した3党の戦いで、当時新党だった共和党のエイブラハム・リンカーンが選ばれ、すぐさま南北戦争が勃発することになった。
米国で再び、文字通りの意味で内戦が勃発しようとしていると考える人は誰もいない。だが、ティーパーティー運動の支持者たちが既に使っているレトリックを見ると、外国の観測筋はきっとそう思ってしまうだろう!

 こうしたことを念頭に置いて、ティーパーティーについて見ていこう。中でもとりわけ、今の日本、あるいは近い将来の日本にとって重要な意味を持つ要素があるかどうか見ていきたい。

ティーパーティーとは「アンチ大きな政府」

 まず、これは単数形のティーパーティーではない。最も興味深く、最も驚くべきことの1つは、これが複数形のティーパーティーズだということだ。ティーパーティーズは、大小様々、時に異なる社会目標を持つ複数の団体が緩く混ざり合った同盟または連盟のような組織で、ただ1つか2つ、根本的かつ決定的な見解、態度によって結びついている。

 すべてを考慮すると、ティーパーティー団体の会員は、一定の政策要綱の信奉者であるのと同じくらい、ある種の態度や気持ちの持ちようを共有している人々だと言っていいだろう。彼らが唱える政策とは、「アンチ大きな政府」であり、それゆえ当然、「アンチ大型支出」だ。従って、彼らの目にはオバマ政権の経済、社会政策はほぼすべて、ひどい代物に映る。

 だが、ティーパーティー運動が、共和党と民主党が繰り広げる「通常の」政策論争と劇的に異なるのは、怒りだ。煮えくり返るような怒り、つばを飛ばしながら絶叫するような猛烈な憤怒である。「妥協」は汚らわしい言葉であり、彼らが気に入らないことはほぼすべて、妥協のせいにされる。ティーパーティーの支持者にとって「大敵」は、民主、共和両党の「職業政治家」なのだ!
(この点については、もちろん、日本ではあり得ないでしょう?!)

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