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2018年1月12日

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ケリー・アレン記者

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寒さで手がむくみ上がり、頭髪と眉が霜だらけになった姿で登校した8歳の中国の児童の写真が8日、インターネットで拡散された。ソーシャルメディアで少年は「アイスボーイ」とあだ名がつけられ、オンラインでは、子供を取り巻く貧困をめぐる議論が再燃している。

ソーシャルメディアのユーザーの多くは、中国の農村家庭で貧困にあえぐ子供たちへの支援が十分なされていない現状を、「ワン少年」の写真が強調していると指摘している。

中国南西部の雲南省にある魯甸県(ろでんけん)の学校に通うためにワン少年が厳しい通学路に耐えなければならないことに、ユーザーたちは同情している。

中国国営通信社の中国新聞社は、少年が4.5キロの道のりを1時間かけて歩いて通学していると伝えている。写真が撮られた日の気温は、マイナス9度だったという。

ソーシャルメディアでトレンドに

何万回もシェアされた写真の1枚には、真っ赤に頬を腫らして薄手のジャケットを着たワン君が、クラスメイトに笑われている姿が写っている。

別の写真は、汚れてむくんだワン君の手と、ほぼ満点がついた練習帳が写ったものだ。

写真はワン君の担任が8日撮影し、校長と他の複数人に送ったものだと複数の国営メディアは伝えている。

しかしすぐに地元で話題になり、さらには中国の全国メディアで取り上げられ、画像がオンラインで拡散されるに至った。

中国で人気のミニブログ「新浪微博(シナウェイボー)」では何千人ものユーザーが、ハッシュタグ「#IceBoy」(アイスボーイ)を使って写真をシェアした。中国共産党機関紙「人民日報」の投稿には、27万7000件以上の「いいね」がついている。

微博のユーザーの多くは、ワン君の不屈の精神と忍耐を称賛するメッセージを投稿した。あるユーザーは、「この子は、知識が自分の運命を変えられると分かっている」と投稿している。

しかし他のユーザーは、少年を見ると胸が痛むと懸念を口にした。むくんだ手と着古した服を見ると、とりわけつらいと。

「霜だらけの小さな赤い顔で、少ししか着ていないし、本当に痛々しい」と書いたユーザーもいた。

中には、政府への怒りのコメントを書いて反応した人もいた。あるユーザーは、「地元の自治体は何をしているんだ?」と疑問を投げかけた。また、少年と連絡を取れるよう他のユーザーに支援を求めた人もいた。金銭や服を寄付するためだ。

「少年の家は泥とれんがで出来ている」

短いビデオニュースを配信する中国で人気のデジタルプラットフォーム「ペアビデオ」の記者がワン少年の家を訪れどんな生活をしているのか取材した。

「ワン少年の家は泥とれんがで出来ており、とても荒廃している」とペアビデオは伝えている。

ペアビデオによると少年は、何千万人にも及ぶ、生活を支えるため都市に出稼ぎに出た両親に会う機会は少ないという「取り残された子供たち」の一人だ。

ワン少年は祖母と姉と暮らしている。4、5カ月に1回しか家に戻れない出稼ぎ労働者の父親とは会う機会が少ない。少年はペアビデオの取材に対して、とても小さな時に母親が出て行ったと話している。

ワン少年の話をきっかけに、「取り残された子供たち」の対策をもっと進めるよう中国メディアは呼び掛けるようになった。

地元企業の一部は、すでに対応している。国営の中国中央電視台(CCTV)によると共産主義青年団の支部が、生徒全員に衣料が生き渡り学校の暖房設備が向上するよう、10万元(約170万円)を寄付したという。

影響力の大きいニュースサイト、澎湃(ホウハイ)新聞は雲南省北東部の子供たちを支援する慈善団体の昭通市青少年発展基金の連絡先を記している。

ソーシャルメディアのユーザーの多くは、ワン少年の話によって農村部で貧困に直面する子供たちへの認識が高まれば良いと望んでいる。

しかし一部の人たちからは、他の多くの子供たちもワン少年と似たような状況だという痛烈な指摘が出ている。「SurblueDu」さんの「貧困の子供たちが何人いるか誰も知らない。一人助けても一人助かるだけ」というコメントには2000回の「いいね」が押された。

(英語記事 Chinese boy with frozen hair reignites poverty debate

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42659155

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