WEDGE REPORT

2018年2月6日

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赤ちゃん、しょうがい者、おとしより。「福祉」を必要とする人は、誰かの支えがあって生きていきます。誰もがいつか来た道、いつか行く道であるにも関わらず、「福祉」には限られた人しか関わることができないのが、今の日本です。(「ReDo」ホームページより)

 福祉の「再構築」をめざして活動する株式会社ReDo(リドゥ)の「ミッション」は、福祉を限られた当事者のものではなく、誰もが日常の中で「そっと支える」ことができるようにすること。

(iStock/kazoka30)

 代表の藤岡聡子さん(32)が「福祉の再構築」という思いを持った背景には辛い経験がある。小学6年生の時に父親を亡くしたこと、そして第一子を身籠ったときに母親が末期ガンであることを知り、生まれた子どもが11カ月のときに母親を亡くしたことだ。

 父親を亡くしたときには、その現実に上手く向き合うことができなかったという。苦しみもがいていたとき、夜間定時制高校に通ううち、外国語を操る女性に出会い、一念発起して英語を勉強し、ニュージーランドへ留学。大学卒業後は人材教育の会社に就職した。「いつかは会社を興したい」という気持ちもあり、友人の一人が実家の土地を利用して老人ホームを運営すると知り、事業に参画。創業者の一人として、入居者募集の営業や広報、新卒採用、育成に奔走した。

デンマークで見た介護のあるべき姿

 ただ、夢中になって走るなかで「ある違和感」を持つようになった。利用者の多くは別の町から来ているため、老人ホームは入居者とその家族だけの閉じた空間になっていた。近所にある保育園などと定期的に交流も行ったが、「日常の中に、非日常がある」という感じがした。

 そんなとき、第一子を妊娠し、「違和感」を残したまま仕事を離れなくてはならなくなった。そこに追い打ちをかけたのが、母親のガンだった。育児と介護を両方しなければならない「ダブルケア」状態となった。母親が亡くなるまでの2カ月は「座ってとった食事は数回。必死すぎて記憶がない」というほど介護と育児に追われた。

 その後、藤岡さんに残ったのは、母親を失った「喪失感」と「なぜ、病人とその家族は社会から断絶されてしまうのか?」という疑問だった。

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