2024年4月26日(金)

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2011年1月25日

 経済が年間5兆円しか拡大しないのに、11年度予算をみると41兆円の税収に対し92兆円の歳出で、開いた穴を埋めるために44兆円の国債を発行する。これではとてももたないことは、誰がみても明らかだろう。国と地方の借金の金額は11年度末には891兆円に膨らむ見通しだ。長期金利が1%台という低金利に助けられて、元利払いの水準は低く抑えられているが、それも限界に近付いている。

 景気や株価が小康となる傍で、債券市場の時限爆弾は着々と時を刻みつつある。きっかけは、米国の長期金利急騰かもしれないし、米格付け会社による日本国債格下げかもしれない。国債を目いっぱい保有する金融機関が損失を恐れて国債の投げ売りに走る時、財政はパンクする。

 ギリシャ危機をみて財政赤字の深刻さに気付いたという菅首相は、今からでも遅くない。自らの首を差し出す覚悟で、社会保障を維持するため消費税の増税をお願いしますと国民に訴えるべきではないか。新国会も政治とカネを巡るドタバタ劇で時間を空費するようなら、景気と株価の小春日和は途端に極北の極寒に変わるだろう。

 

◆WEDGE2011年2月号より

 

 


 

 

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