今月の旅指南

2011年9月29日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 かつて幕府直轄の代官所が置かれ、商業都市として栄えた倉敷の町。往時の華やかな町人文化の伝統が垣間見られるのが、この秋で復活して10回目を迎える倉敷屏風祭(くらしきびょうぶまつり)だ。本町から東町にかけて600メートルほどの通り沿いの民家が座敷や玄関を開放、屏風をはじめ先祖代々の宝物や生け花などを展示して、来訪者に披露する。

各民家が趣向を凝らして家宝を飾り、来訪者をもてなす

 「昔、倉敷で行われていた屏風祭は、京都の祇園祭から伝わったといわれています。文化・文政期(1804~1830年)にも、阿智(あち)神社の秋季例大祭を“屏風祭”と記した文書が残されており、元来は歴史あるお祭りです。ところが、100年ほど前に途絶えてしまい、それを町の活性化のために再興しました。現在の倉敷屏風祭は古くて新しい祭りなのです」と、倉敷屏風祭実行委員長の岡荘一郎さん。

 米や綿花の集積地として繁栄した倉敷には、かつて幾つもの大きな蔵を持つ豪商が多かった。豊かな財力を屏風収集に投じ、屏風だけの蔵を所有する商家もあったそうだ。幸いに戦火を免れた倉敷の町の土蔵には、そうした先祖伝来の屏風がそのまま眠っていたケースも少なくなかった。

商業の中心地として栄えた往時を偲ばせる家並み

 倉敷屏風祭には毎年30~35軒の民家が参加している。たくさんの屏風を所蔵しているところでは、毎年展示を入れ替えるので、それを楽しみに繰り返し訪れる見学者もいるという。

 「お祭りの楽しみは、2つあります。まず、屏風を鑑賞すること。次に、普段は外側だけしか見られない、昔ながらの造りの民家の中に入れることです。なかには庭を開放したり、お茶席を設けたり、仕事場の様子を公開したり、それぞれの家が思い思いのやり方で来訪者をおもてなししています」

 倉敷屏風祭は、毎年阿智神社の秋季例大祭と同日に開催される。そのため、神社の祭礼にちなんだじじばば(お年寄り)のお面をつけた“素隠居(すいんきょ)”が通りを歩いていたり、桃太郎伝説に起源を持つ“鬼”が出没したり、そんな思いがけない出会いも楽しみだ。

倉敷屏風祭
<開催日>2011年10月15~16
<会場>岡山県倉敷市・本町、東町、美観地区界隈(山陽本線倉敷駅下車)
<問>倉敷屏風祭実行委員会 086(424)2111
http://www.city.kurashiki.okayama.jp/dd.aspx?menuid=12099

◆ 「ひととき」2011年10月号より

 

 

 

     

 
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