世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年1月31日

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 ここで重要なことは、北朝鮮に対しては核兵器のみならず、「全ての大量破壊兵器」の破棄を求めることを文書化したことである。「大量破壊兵器」には、核兵器の他、核に至らない放射性物質、有毒ガス、サリン等の化学兵器及び細菌等の生物兵器も含まれる。このうち、特に、化学兵器に関しては、共同声明第19項目で、その使用禁止を徹底させるため、化学兵器禁止機関(OPCW)の強化が謳われた。

 昨年6月12日、第1回米朝首脳会談が開催され注目をされたが、具体的成果はまだ上がっていない。本年2月末に第2回米朝首脳会談が開催されると言われているが、その過程でも、北朝鮮が国連決議による制裁を回避しないよう、国際的に有志連合で監視して行くことは極めて重要である。

 日仏4大臣は、「両国が共に太平 洋国家であること」を確認した(共同声明第4項目)。フランスは、欧州の外に海外領土をもち、太平洋には、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアを有す。昨年、ニューカレドニアでは独立を問う国民投票が行われたが、人々はフランスに留まることを選択した。今回、日仏両政府は、日仏間に包括的海洋対話を立ち上げることで合意した。「包括的」とは、海洋に関する様々な分野、環境、産業協力、安全保障、科学技術、法の支配等の諸課題を対象とした日仏対話の場の設置である。「自由で開かれた海洋秩序」の推進で協力して行く(共同声明第5項目)。

 こうした海洋における日仏協力を推進しながらも、4大臣は、現在進行形の問題に触れることを忘れなかった。共同声明第8項目では、「東シナ海及び南シナ海における状況に対して引き続き強い懸念」が表明され、「緊張を高め,地域の安定及びルールに基づく国際秩序を損なう一方的な行動」を非難し、「係争のある地形の非軍事化及び平和で開かれた南シナ海」を求めることが確認された。これは、暗に中国の行動を批判したものである。中国が進める南シナ海での一方的埋め立てと軍事化、東シナ海での一方的資源開発や領海侵犯等である。

 ただ、海洋問題はインド太平洋地域にとどまらない。より広範囲で、海賊、海上テロリズム、違法操業等が起きている。それらに対処するため、日仏両国は、「海洋状況把握(MDA)を始めとする海洋安全保障に係る情報交換及び協力を発展させること」で合意し、「ソマリア沖・アデン湾における海賊対処について,両国のプレゼンスが引き続き重要であることを認識し,ジブチ地域訓練センター(DRTC)の活用を含めた協力を強化することで一致した。」(第27項目)。

 「第5回日仏外務・防衛閣僚会合 共同声明」には、上記の他にも中東、アフリカ、ロシア等の外交問題、サイバー、宇宙等での日仏協力等、様々な分野の日仏関係の強化が包括的に明記された。が、全体を通して、日仏間の海洋協力の拡大が主題となったようだ。それは、今回の「2+2」がパリでなくブレストで開催されたことでも象徴的である。
 

  
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