田部康喜のTV読本

2019年2月21日

»著者プロフィール
著者
閉じる

田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(EvgeniiAnd/iStock/Getty Images Plus)

 TBS金曜ドラマ「メゾン・ド・ポリス」(よる10時)は、元警察官たちが住むシェアハウスの人々がチームを組んで、所轄署の刑事部長・牧野ひより(高畑充希)が事件を解決する異色の刑事物である。メンバーには、オーナーである元警視庁副総監の伊達有嗣(近藤正臣)、管理人の警務畑一筋を歩んだ高平厚彦(小日向文世)、鑑識のプロだった藤堂雅人(野口五郎)と、専門家集団である。

 そして、シェアハウスの雑用係として洗濯やアイロンかけなどを担当する、元警視庁捜査一課の主任警部補・夏目惣一郎(西島秀俊)が、ひより(高畑)とともに、現場捜査に当たる。西島といえば、「MOZU」(2014年、TBS)や「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班(2017年、カンテレ)などで、刑事を演じさせたら他の追随を許さない。

主役級の俳優を配して、
単純な刑事物の謎解きに終わらせない

 物語は1話完結で、チームのメンバー同士のドタバタやひより(高畑)の失敗などがコミカルに、ときには人情豊かに事件解決されていく。チームことに夏目(西島)が現役時代に抱えた事件の残像が縦糸となって、ドラマを貫いている。それは、ある企業にからむ事件であることが徐々に明らかになっている。さらに、この事件にはひより(高畑)の父・牧野尚人(水橋研二)の死も絡んでいるのだろう。

 脚本の黒岩勉の巧みなストリーテラーぶりに拠っている。アレクサンドル・デュマの大作「モンテ・クリスト伯」を翻案した「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」(2018年、フジテレビ)の記憶が新しい。主役級の俳優を配して、単純な刑事物の謎解きに終わらせない。

 第6話に至って、ひより(高畑)が自宅に帰るのを待ち構えていた、警視庁捜査一課の管理官・間宮朝人(今井朋彦)は、こう言うのだった。

 「シェアハウスの住人には心を許さないことだ。あのなかのひとりは、我々の敵だ。夏目惣一郎(西島)だ。3年前に罪ない人を殺している」

 ドラマのこれまでの展開のなかで、元副総監の伊達(近藤)が机の引き出しのなかに、企業名を記したファイルを隠していることもワンショットで見せている。

関連記事

新着記事

»もっと見る