インド経済を読む

2019年5月22日

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野瀬大樹 (のせ・ひろき)

公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務・内部統制構築業務などに関わったのちに独立し、野瀬公認会計士事務所を設立。インドのニューデリーに、日本企業のインド進出を支援するNAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、代表に就任。日本インドの双方より、日系企業へのコンサルティング業務を行っている。

[著書]
写真:AP/アフロ

 4月下旬に東京へ出張したが、ホテルのテレビで経済ニュースを見ていると、どのニュースも米中貿易戦争の話ばかり。

 奔放で歯に衣着せぬトランプ大統領の発言は、テレビで視聴率をとれるのもあると思うが、ご存じの通り、日本にとって中国と米国はともに輸出総額のおよそ2割を占める突出した1位と2位である。多くの日本企業の業績が「中国への輸出頼り」という状況が続いており、貿易戦争の激化による中国国内の景気後退を気にする人が多いのは間違いないだろう。

 米中両国は2018年から現在に至るまで、互いに関税の引き上げや、ファーウェイ、ボーイング社製品への規制など報復合戦の様相を呈しており、沈静化する気配はない。

 日本もその動きを気にしているものの見守ることしかできないようだ。実際、日経平均株価もこの交渉に関する日々の情報を受けて一喜一憂が続いている。

 一方、インドでも米中貿易戦争への関心は日本と同様に高い。さすがに4~5月はインドの下院総選挙の真っ最中なので新聞の一面を飾ることはないが、経済面は連日のようにこの話題に触れ、トランプ大統領のTwitterにおける発言まで追って解説している。

 もちろんインドにとっても中国と米国が主要な輸出先であることは間違いないが、中国への輸出は香港を含めても米国、UAEに次ぐ3位にとどまっている。国際競争力を有する国内の製造業が未発達であること、中印両国が複数地域で国境紛争を抱えていることもその主な原因と考えられる。それでも、日本と同じくらいの注目度でこの米中貿易戦争の動向を固唾を飲んで見守っている。

 それは、なぜか――。

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