From NY

2019年5月24日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

(hofred / iStock / Getty Images Plus)

 先日日本に一時帰国したら、東京の電車ではもう「お年寄りに席を譲る」という行為が過去の遺物になりつつあることを痛感した。

 優先席でもためらわずに座る若者たちの大多数は、年配の人や赤ちゃんを抱いた人が乗ってきてもスマホに視線を落としたり、おしゃべりに夢中になっている。あるいは居眠りをしている(あるいはふりをしている)。

 見ていて胃が痛くなるようなこうした光景は、なにも東京ばかりではない。

 ニューヨークでも誰もがスマホを持つようになった現在、若者たちが我先にと座席を確保してゲームに一心不乱になり、お年寄りが乗ってきても知らん振り、という悲しい姿が日常的になってしまった。

窓側の席へと詰めない人たち

 このスマホ問題は別にしても、実はこのところニューヨークで気になって仕方のない現象がある。公共のバスの中で二人用の席の奥に詰めずに、通路側に座る人が多いことだ。

 通常ニューヨーク市内を走るMTA(メトロポリタントランスポテーションオーソリティ)のバスは前方に横並びの優先席のセクション、そして右側には前方向きの1人用、左側に2人用のベンチ形式の座席が並んでいる。

 特にここ1年ほどの間に、やたら目に付くのはこの2人用の座席の通路側を占領し、結果的に2人がけの座席を1人で独占してしまうという行為だ。

 大荷物を抱えていたり、ほんの近距離だけ乗る人ならまだわかる。だがある日乗ったバスでは、4列の2人用座席がすべて通路側だけ占領されていたことがあり、さすがにむっとした。

 「いつからこんな座り方が当たり前になったの?」

 SNSに写真をつけて、英語でそう書き込んだ。

 子供のころから、公共の乗り物ではみんなが座れるように詰めるのが常識と教えられて育ってきた。ところがこの常識、世界の常識ではないらしい。

 予想外に、意外なほどの反響を呼んだのである。

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