2024年4月27日(土)

Washington Files

2019年5月28日

ベネズエラ

 南米ベネズエラのマドゥロ独裁政権と反体制リーダー、グアイド国会議長勢力との対立が激化して以来、半年余り経過したが、混迷は深まる一方だ。

 去る4月30日、トランプ政権が支持するグアイド側の一部市民グループが、政権転覆図り“武装蜂起”したが、失敗に終わった。マドゥロ大統領は騒動鎮圧後、「クーデターは粉砕された。加担した政府・軍内部の容疑者は逮捕し、厳罰にかける」とテレビ放送を通じて宣言、前秘密情報部長ら事件、関係者を指名手配したことを明らかにした。

 同事件以来、反体制政治家、軍人たちの逮捕・緊急避難があいついでいる。これまでに、マドゥロ氏につぐナンバー・ツーのアメリコ・デ・グラシア氏が在カラカスのイタリア大使館に、ナンバー・スリーのリチャード・ブランコ氏がアルゼンチン大使館に、一握りの軍人たちがブラジル大使館にそれぞれ逃げ込み保護を求めた。エドガー・ザンバロ国会副議長ら一部の有力政治家は今月に入り、逮捕されたという。

 これに対し、グアイド氏を事実上の「大統領」と公認したトランプ政権は、対ベネズエラ経済制裁強化に乗り出しており、さらに今月15日、アメリカ―ベネズエラ間の旅客・貨物飛行便のすべてに運航停止命令を出した。

 一方、アメリカと対立するロシアは現政権に対する軍事テコ入れのほか、経済・医療物資援助などを活発化させているほか、ロシアの“衛星国”キューバは1万5000人規模の軍人を駐留させ、ベネズエラ軍の兵站支援を続けている。

 ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官らトランプ政権強硬派は「軍事行動も選択肢のひとつ」として介入の可能性も示唆しているが、実際に大量部隊を投入した場合、ベネズエラ国内が大混乱になりかねず、トランプ大統領自身も、強気の姿勢をツイートなどでちらつかせる一方、軍事介入には慎重な構えを崩していない。

 アメリカの“庭先”で起きている国際的事件でも、トランプ外交は次の有効な一歩を踏み出せず、足踏み状態が続いている。

  
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