うつ病蔓延時代への処方箋

2013年4月23日

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 これまで6人のメンタルヘルスに関わる人物に登場いただき、それぞれの立場でうつ病への取り組みと、改善への展開などを語ってもらった。今回は精神科の専門医である佐野秀典医師を訪ね、日ごろ患者と接していて感じていることなどを聞いた。日本の精神科医は1万人といわれるが、それぞれ現代社会が生み出すメンタル不調者への捉え方は多様であり、統一的な取り組みはない。その中で佐野先生に、うつが増える現状と要因、そこに潜む社会的な問題点、薬に関する事項など、できるだけ一般論ではなく具体的な内容に踏み込んで聞いてみた。

佐野秀典(さの・ひでのり)
1989年浜松医科大学卒。93年浜松医科大学大学院修了。トロント大学医学部(精神薬理学研究)、浜松医科大学文部教官助手を経て97年医療法人設立。2006年メンタルヘルスコンサルティングなどを手掛けるMD.ネット設立し社長に就任。上海GHCストレス外来担当非常勤医師、早稲田大学非常勤講師など兼務。医学博士、精神保健指定医、精神科専門医。

混同される「うつ病」と「抑うつ状態」

―― うつ病を発症している人とうつ状態にある人は、症状としては同じに見えることが多いので、同一した見方をしがちです。そこには大きな間違いがあるのですが、マスコミの論調などではきちんと区分けされていないケースが目立ちます。その一方で自分の身近にも、うつ症状で通院する人が複数いますし、社会全体で、うつが増えていることを実感します。この現状についてどのような見方をされていますか。

佐野:全年齢を対象にしてみると、うつ病の発症頻度は数十年前と比較して、ほとんど変化していないと思います。とくにうつ病のコアな部分である大うつ病についてみると、患者数そのものは増えていません。ただ、これをビジネス面で、働く人に限定してみると、その数は確かに増えているといえるでしょう。ただし、それはうつ病であるということではなく、抑うつ状態が長く続き、業務に支障が出ているということです。つまり、抑うつ状態にある人が増えているということで、うつ病全体が増えているのとは違います。これが混同されている点です。

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