2024年5月6日(月)

Wedge REPORT

2024年1月14日

偽情報、誤情報、デマ、不正確な情報、偏った情報……。複雑化する情報社会を生き抜くための実践書『フェイクを見抜く』(唐木英明 小島正美、ウェッジ)が1月19日に発売されます。本記事は書籍の一部を再編集したものです。

 巷(ちまた)では玉石混交の情報が乱れ飛んでいる。そうした偽情報や誤情報、デマ、不正確な情報に対して、「正確」「不正確」「誤報」「虚偽」などと真偽を検証する「ファクトチェック」活動が日本でも活発になっている。

(MasaoTaira/gettyimages)

 しかし、あるニュースや記事、ネット情報に対して、簡単に「正確」とか「間違い」と判断するのは、実は意外に難しい。ニュースで流れた政治家の発言が事実かどうかを確認するという程度のことなら、それほど難しくはないだろう。現にそういう情報に対するファクトチェック活動は日本でも始まっている。

 ところが、「農薬のせいで子どもの発達障害が増えた」とか「非糖質系甘味料の摂取はがんを増やす」、また「妊婦が新型コロナワクチンを接種すると流産する」「ゲノム編集食品を食べるとがんになる」「有機食品は美容によい」といった「科学とリスク」に関わる話となると、専門的で学際的な科学知識が必要となるだけに、そう簡単に「誤報だ」などと断定することは難しい。最近は、科学を装った誤情報が多く出回っているだけに、真偽の判定は余計に困難を極めている。つまり、従来のファクトチェックでは手に負えない巧妙な偽情報や誤情報が増えているのがいまの時代である。

 さらに、同じニュースや記事でも、別の角度から見ると「これって、相当に偏っている」と思われる情報も増えてきている。例えば、福島第一原発の事故でたまり続けるタンクの処理水放出をめぐる問題でも、同じテーマを扱っていながら、新聞社やテレビでその報道の中身がかなり異なり、何が真実か分かりにくい例も増えている。この問題は、新聞やテレビなど媒体ごとに報道スタンスがはっきりと分かれる「メディアの分断」とも関係するため、新聞を読み比べても真相はなかなかつかめない。


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