うつ病蔓延時代への処方箋

2014年1月15日

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 うつ病を発症させる要因と改善法を探るため、精神科医、心理学者、臨床心理士など幅広く専門家を訪ね1年間、23人をインタビュー連載した。当初は同じような内容が続いてしまうのでは、という危惧があったが、それは単なる杞憂でしかなかった。あまりにも多様な捉え方があり、うつ病への対処法もそれぞれが異なる取り組みだった。

 うつ病に陥る要因は多様だ。人は立場や育った環境、その他多くの違いがあり千差万別。それだけに画一的な対処法などは存在しないのではないか、とインタビューを通して感じた。だから改善に向けた考え方やアプローチが多くあるのも当然だと思う。

 手当たり次第、形振り構わずの突撃取材をして、できるだけ多くの考え方、取り組みを伝えることを目的とした。そこから見えてくるものがあるという期待があったからだ。しかし、未だに見えない。それほど容易なことではないことを改めて知る。

 今回は1年を振り返り、印象的だった話をまとめてみる。

何故、うつ病が増えているのか

 取材当初は、うつ病が増加する要因、社会的な背景をできるだけ解明することを重視した。厚生労働省の患者調査によると、「日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています」(厚労省HPから抜粋)。100万人を超えた気分障害患者数のすべてがうつ病ではない。ただ、患者数は確実に増加していることはわかる。(この調査から、かなりの年数が経過している。最新では2011年の調査が公表されているが東日本大震災の影響で福島県と宮城県の一部地域が含まれていないため比較しにくい)

ライフバランスマネジメント研究所・渡部卓代表

 うつ病は中高年、とくに女性の発症率が高いといわれているが、2000年以降に目立ち始めてきたのが職場うつだ。ライフバランスマネジメント(LBM)研究所の渡部卓代表は次のように語った。

 「何故、これほどまでにうつ病に悩む人が職場で増えてしまったのか、大きな要因のひとつとして考えられるのはIT化の進展です。日本でインターネットが商用化されたのが1994年。その後「ウィンドウズ95」が登場して、ネットが本格的に普及したことはご承知のことだと思います。インターネットの普及と職場うつの増大は時期として符合しています。ネットの進展は、職場での仕事の仕方を変えてしまった。働き方が変わり、コミュニケーションのあり方を変えてしまった。そこに景気後退で企業が効率化と生産性を追求してきたことで、働く人を追い詰めていったということがあげられます」という。

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