2024年5月9日(木)

世界の記述

2014年7月31日

 筆者は、凡そ30年前に初めてタイに来て以来この国の人々の貧しくも素朴で明るい国民性に接し、すっかりこの国が好きになってしまった。振り返るとその後のタイの経済発展は目覚しいものがあり、首都バンコクの風景一つとっても30年前のそれと比べると「これが同じバンコクなの?」と、疑いたくなる程の変容振りだ。一方、人々の生活も豊かになるに連れ、中間所得層が台頭し国民全体の政治意識も徐々に向上してきたやに見えたが昨今の政治的混乱を見ていると、大変残念なことにこの国の政治家も民衆も未だに真の議会制民主主義とは何かを理解していないと考えざるを得ない。

 このままの状況が続けばタイ経済が急速に疲弊するだけでなく、国際社会に於けるタイという国の信用も失われることとなる。

 また、軍は公式には「国民の融和のために出動、革命を起こした」ことを強調しているが、実態はかなり露骨に赤シャツ狩りを強行しており、これではどこかの時点で爆発する可能性がある。最悪、いずれかの時点で市街戦のような恐ろしい事態にならないとも限らない深刻な要素を秘めている。タイをこよなく愛する一日本人としては悲しい限りである。

◆Wedge2014年7月号より









 

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